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IFRS最前線(1)

単なる会計基準の変更では済まされない!
IFRSの衝撃

林恭子
ダイヤモンド・オンライン
2010/4/9

企業会計審議会が2015年にIFRS(国際会計基準)の上場企業への強制適用も辞さない方向性を示した。「単なる会計基準の変更だけでは済まない」との見方が強く、経営方針そのものにまで影響を及ぼす可能性も高い(ダイヤモンド・オンライン記事を転載、初出2009年11月26日)

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 2009年9月上旬、東京・椿山荘で行われた“あるセミナー”に約400人の大手企業をはじめとした経営企画・経理担当者が詰めかけた。セミナーを主催したSAPジャパンの桐井健之・ビジネスユーザー&プラットフォーム事業本部 副本部長によると、「昨年から今年前半に同様のセミナーを行った際は100人程度の申し込みだったが、この9月のセミナーに関しては400人の定員に対し、2倍近い申し込みがあった。定員を上回った希望者については、お断りせざるを得なかった」という。

 経理担当者がこぞって詰めかけるこの“人気セミナー”とは、一体何をテーマにしたものなのか。それは、最近ビジネス誌などで盛んに取り上げられている「IFRS(国際会計基準)」だ。

 「IFRS」とは、国際財務報告基準(International Financial Reporting Standards)を略して表記したもので、現在、世界100カ国以上で強制または任意適用が認められる会計基準である。

 世界の動きを見てみると、「IFRS先進国」であるEUでは、2005年1月からEUの域内上場企業に対してIFRSの適用を義務づけると共に、域外上場企業に対しても、2009年1月からIFRSまたはこれと同等の基準の適用を義務づけている。

 これに続いたのが米国だ。EUのIFRS適用の動きなどを踏まえ、米国証券取引委員会(SEC)は、2008年11月に米国企業に対してIFRSの適用を容認(任意適用)・強制適用するための「ロードマップ案」を公表した。その中では、2014年から財務報告を提出する全企業にIFRSを段階的に強制適用することの是非について、2011年までに決定する案が提示されている。一定の要件を満たす企業については、2010年初頭以降に提出される財務報告にいち早くIFRSの適用を容認する方針だ。

 すでにここまで取り組みが進んでいる欧米に対して、ひとり出遅れていたのが日本だ。これまで日本では、IFRSの適用(アドプション)ではなく、IFRSと日本基準との差異を縮小する(コンバージェンス)という対応がとられてきた。

 しかしEU・米国の動きを受け、金融庁・企業会計審議会は、2009年6月16日に公表した「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」の中で、上場企業へのIFRSの強制適用も辞さない方向性を示した。

 つまり日本の会計制度も、いよいよ“世界標準”に準拠しなければならなくなる。上記の中間報告の中では、(1)2010年度3月期から上場企業の連結財務諸表に任意適用を認めること、(2)強制適用は、2015年または2016年3月期で、その判断は2012年を目処に行うこと、が明記されている。

 日本は、これまで幾度となく会計基準の変更を経験してきた。しかし、今回のIFRS導入は「単なる会計基準の変更だけでは済まない」との見方が強い。なぜなら、会計に対する発想が日本基準とIFRSでは全く異なっているため、導入に当たって様々な混乱が予想されるからだ。ヘタをすれば、会計基準の変更が「経営を揺るがす問題にまで発展しかねない」(桐井氏)のである。

 そのため、2015年3月期という5年先の導入にも関わらず、多くの経理担当者たちは、IFRS対応に追われている。冒頭のように、「いち早く情報を得よう」とセミナーなどに詰め掛けているのだ。

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