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IFRS最前線(2)

背伸びせずに「まず始めること」が急務!
IFRS導入支援サービスの“松竹梅”

小尾拓也
ダイヤモンド・オンライン
2010/4/15

企業にとって、IFRSの導入準備は「待ったなし」の状況だ。だが焦りは禁物。自社だけで対応が難しい場合は、お手頃な導入支援サービスも利用できる。賢い導入策の「松竹梅」をお伝えしよう(ダイヤモンド・オンライン記事を転載、初出2009年12月10日)

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手に負えない場合はサービスを
急ぐべきは連結財務諸表への対応

 ならば、IFRS導入のためのノウハウ・システムを提供するITベンダーやコンサルタント会社の支援サービスを利用して、まずは必要最低限の体制を安く整えてしまうのも手だ。本格的な対策は、その後でやればよい。

 盛り上がる「IFRS支援需要」は、彼らにとっても大きなビジネスチャンス。「資金も時間も人材も限られている」という企業のために、ニーズに見合った様々なサービスを用意している。

 社内に「IFRS支援室」を立ち上げ、セミナーや企業訪問に力を入れるSAPジャパンは、そういったITベンダーの1つだ。

 同社の桐井健之・バイスプレジデントは、「IFRSに対応する連結財務諸表の作成ノウハウを導入することが急務。個別財務諸表への対応は、後でもまだ間に合う」と指摘する。

 仮に同社の支援メニューを、サービスのレベルと料金によってざっくり「松」「竹」「梅」にランク分けしてみよう。最も本格的な「松」は、連結財務諸表への対応と共に、グループ全体の会計システムをIFRS対応に切り替える上級コース。中間の「竹」は、連結財務諸表への対応と共に、本体や主要拠点のシステムだけを切り替える中級コースだ。

 そして「梅」は、とりあえず連結財務諸表への対応だけを目指すお手頃コースといったところ。実際、「最も企業ニーズが高いのはやはり梅コース」(桐井バイスプレジデント)だという。

 ただし、ゆくゆく連結決算のベースとなる個別決算システムへのテコ入れもやらなくてはならないことは、言うまでもない。「梅」コースは、あくまでも「応急措置」と考えておいたほうがよさそうだ。

IFRS対応で破綻しない
調査、導入、維持の3つのステップ

 一方、コンサルタント会社も負けてはいない。トーマツグループでコンサルティングサービスを手がけるデロイトトーマツコンサルティングは、IFRS導入支援に際して、企業の関係者が理解しておくべき3つのステップを説明している。

  それは、(1)調査・分析(導入による影響分析と導入までのロードマップの作成など)、(2)導入(会計方針の決定、社内インフラ整備、グループ展開など)、(3)維持・改善(導入から決算報告までの間に必要となる新システムや業務プロセス、社内制度の維持改善など)というプロセスだ。

  同社は、グループの有限責任監査法人トーマツと組んで、このプロセスをベースにした支援を行なっている。「会計ノウハウの提供やサポートマニュアルの作成を有限責任監査法人トーマツが、システム設計、プロジェクト管理、教育プログラムの実施などをデロイトトーマツコンサルティングが担当する」(篠田昌典パートナー)という、大手ならではのコラボ作戦だ。

 IFRSという黒船の到来は、もうそこまで迫っている。だが、その対応を「手間ばかりかかる作業」と考えるのはナンセンスだ。

 将来、世界の会計基準が統一されれば、企業は同一の基準で全事業所を比較することができるため、経営の効率化を実現できる。また、国境をまたいだ資金調達も、今とは比べ物にならないほどスムーズになるはずだ。会計基準のグローバル化は、金融市場や企業経済が健全に発展するためにも、必要なものと言える。

 かかるコストや労力は確かに小さくないが、企業は「焦らず、背伸びをせずに、まずは第一歩を踏み出す」ことが重要なのである。

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