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IFRS最前線(2)

背伸びせずに「まず始めること」が急務!
IFRS導入支援サービスの“松竹梅”

小尾拓也
ダイヤモンド・オンライン
2010/4/15

企業にとって、IFRSの導入準備は「待ったなし」の状況だ。だが焦りは禁物。自社だけで対応が難しい場合は、お手頃な導入支援サービスも利用できる。賢い導入策の「松竹梅」をお伝えしよう(ダイヤモンド・オンライン記事を転載、初出2009年12月10日)

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 「ただでさえ不況で残業代や人員を減らされているのに、雑務ばかりが増えていく。これでは、とてもやっていられない」

 今後、多くの経理担当者からこのような“ぼやき”が噴出しそうだと語るのは、ある会計の専門家である。

 世の経理担当者の多くが不安視しているのは、「IFRS」(国際財務報告基準、国際会計基準)の導入準備である。前回詳しく述べたとおり、IFRSは将来的に世界各国での適用が視野に入れられている会計基準だ。

 「欧米と比べて取り組みが遅れている」と言われる日本でも、いよいよ2010年度3月期から上場企業の連結財務諸表に任意適用が認められる。「強制適用」となるのは、2015年または2016年3月期と目されている。

 その際、企業にとって大きな負担となるのが、これまでの会計ノウハウやシステムを、全て国際基準に合わせて見直さなくてはならないことだ。

 実際、国際基準と日本基準の間には、大きな隔たりがある。すでに米国基準で決算を行なっている一部の総合商社や金融機関にとっては違和感は小さいだろうが、問題は国内のビジネスに特化してきた企業だ。彼らは、これまでの価値観をガラリと変えなくてはならない。

 とはいえ、グローバル展開していればよいというものでもない。

 「IFRSでは、連結決算が重視されるため、海外展開に積極的な企業の負担も大きくなる。海外拠点が先進国に限定される企業はまだ楽だが、制度的なインフラが整っていない新興国に展開している企業は大変。現地の会社法や税法に基づいて作られていた子会社の財務諸表を国際基準に統一するためには、かなりの時間を要する」(野村直秀・アクセンチュア・エグゼクティブパートナー)

 にもかかわらず、多くの企業はまだ何の取り組みも始めていないか、やっと真剣に対応を考え始めたところだ。「最低限の準備を済ませるのにも、中小企業だと1年、大企業だと2年は見ておく必要がある」(野村パートナー)というから、うかうかしてはいられない。

 そんな状況だから、企業関係者にのしかかるプレッシャーは想像に難くない。冒頭の専門家が言うように、今後はあちこちから“ぼやき”が噴出するだろう。

規則主義から原則主義へ
財務諸表には見慣れない項目が……

 では実際、IFRSは企業会計にどれほどの変化をもたらすのか? 詳細な説明は次回以降に譲るとして、ここでは大まかな概要だけ見てみよう。導入準備にあたるのは、何も経理部門だけではない。実は、全社のあらゆる部門において対応が必要になる。

 日本の会計基準とIFRSを比べた場合、ベースとなる考え方そのものが“規則主義”から“原則主義”へと変わることは、前回説明した通りだ。

 細かい指針が定められないIFRSでは、基本的に各企業が自ら「適正」と考える指針を決めて、会計処理を行なうことになる。そのため、現場の取り引き1つに至るまで、財務諸表への適正な記述の仕方を考えなくてはならない。決算発表の際には、当然「注記」も膨れ上がるだろう。

 ただし、「好き勝手にやればよい」ということでは決してない。「原則主義だからこそ実態に即した会計処理を行なうべきだ」という理念が根底にあるため、結果的に様々な「事実上のルール」が発生してしまうからだ。

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