[Interview] 開発・テストの充実も目指した新ESB、ソニックソフトウェア

2006/5/31

 ESBというソフトウェア分野を提唱、業界初の実装製品を市場に投入して市場を切り開いて来たソニック ソフトウェア。5月10日にはその最新版「Sonic ESB 7.0」をリリースした。同社プロダクトマーケティングのシニアマネージャ、ケン・シュワルツ(Ken Schwarz)氏に新製品の特徴と戦略を聞いた。


──Sonic ESB 7.0は、どのような製品ですか?

米国ソニック ソフトウェア プロダクトマーケティングのシニアマネージャ、ケン・シュワルツ氏

 Sonic ESB 7.0は、第3世代のESB製品です。業界初のESBである「Sonic XQ」の登場が2002年の3月。わたしたちはESBとは何かを定義して、ガートナーとともに新しいソフトウェアのカテゴリを作ったこともあり、2003年ごろからほかのメーカーも追随してきました。2005年3月には、パフォーマンスと信頼性を磨いた第2世代のESBである「Sonic ESB 6.0」をリリース。そして今回の7.0です。

 第3世代は生産性、使いやすいツールが欲しいというニーズに応えることを目的に開発したものです。現在、米国ではユーザーがアーリーアダプターからメインストリームユーザーに移りつつあるところです。

 ESBというのは、互換性のないプラットフォームを統合するために作られたもので、システムの接続を従来の1対1ではなくて、標準サービスのインターフェイスを作ることで、変更に対する柔軟性と堅牢な運用、可視性と制御性を向上するものです。

 このとき、問題はセキュリティ──信頼性を確保することです。これはサービスインターフェイスの定義では解決しません。それを解決するものがESBです。どのプラットフォームも同じインフラにつながっているので、これを経由して変更・変換が簡単になります。

 ESBの中のコミュニケーション・バックボーンは、信頼性が高くて可用性もあってサービスは別に任せます、ビジビリティとコントロールがそれについてくるというSOAの規範を作ります。

──Sonic ESBと他製品の関係は?

 弊社のソリューションの全体を説明すると、バックボーンとしてSonic ESBがあり、その上に「Sonic XML Server」「Sonic Orchestration Server」があります。ESP(イベントストリーミング・プロセッシング)の会社を買収してもので、「Apama Event Stream Processer」というものがあります。これはESBやそのほかのイベントストリームをリアルタイムにモニタリングして、あるパターンを認識したらイベントを発生させてほかのサービスをキックするようなことができます。株価の変動に対して即応するようなリアルタイム・ビジネスからBAM的な使い方、内部統制やコンプライアンスにも応用できるでしょう。

 もう1つ、今年の1月にActionalという会社を買収して、Looking Glassという製品がライアップに加わりました。デプロイされたプロセス、サービスを可視化する管理ツールです。SOA環境になってくると、サービスがサービスを呼び出すというようなサービスの入れ子の構造がかなり出てきます。そういった依存関係をビジュアルに表現し、管理するための製品です。これはESBに限らずAPサーバでも、その管理性が非常に問題になっていて、そういったところも1つのターゲットになっています。

──ESBはどのように使われているのでしょうか?

 第2世代のESB 6.0では性能・信頼性を高めて、そのおかげかミッションクリティカルのデプロイが300社、特にBAAは英国ヒースロー空港の第5ターミナル(建築中)の中のSOA基盤がSonic ESBとなっています。

 何千台とサーバがあるシステムで、ターミナルの停止位置ハンドリングとフライトコントロールとか、非常に複雑なものです。このシステムがダウンしたら、1時間ぐらいであればヨーロッパ全体に、1時間以上だったら世界中に悪影響を与えるというぐらい、極めて厳しい条件で、性能・信頼性・可用性を求められるものです。ここでSonic ESBが使われています。

 このようにSOAを基盤としたシステムは次々と実用化されているわけですが、次に大切になるのが開発環境です。開発ツールは、メインストリームユーザーの開発生産性が大切で、何より使いやすいツールが求められます。ビジネスアナリストの教育・サポートという面からも使いやすいツールを目指しました。

──開発環境というと、どのようなものでしょうか?

 Sonic ESB 7.0はモデリング、構成、テスト、デプロイというSOAのライフサイクルを効率化する開発ツールセットを備えています。それがSonic WORKBENCHです。Eclipseベースの環境で、非Eclipseユーザーはスタンドアローンでも使えます。

 機能的にはWORKBENCHは、ワークフローの4つの段階で使用されます。まずビジネスプロセス・モデリングをして、それが出来たら製品のコンフィギュレーションを行います。それからテスト、配備というワークフローです。

 ビジネスプロセス・モデリングは、GUIでパレットから必要なステップをドラッグ&ドロップして行います。この段階では技術的な細かい設定はしません。プロトコルは何か、サービスのインターフェイスは何かといった指定はせずに、ビジネスの定義だけを行うわけです。

 次の段階は構成です。ESBとESBの周りの製品のリッチな機能をここから全部操作できます。XSLやWebサービスをつなぐのであれば、WDSLを読み込んでプロトタイプから前後の処理を定義したり、データベースの呼び出しであれば、データベースのコネクションとか、どのテーブルに入れるかなどを決めて、シナリオを作ります。ルーティングのルールも、同様です。このシナリオをプロセスの各ステップに与えていくわけです。

 それからテストの段階に入ります。テストは2つの段階があると考えています。1つは開発環境での簡単なテスト、もう1つ分散環境にデプロイしてからのテストです。WORKBENCHのプロジェクトRUNのボタンを押すと各ステップを自動的にトラッキングして、ブレークポイントにぶつかると停止します。

 このとき、ビジネスプロセス・マネジメントのエンジンはありません。BSPというとこれは独特な機能で、メッセージといっしょにプロセスのステートメントが流れます。

 最後の段階はデプロイです。デプロイは基本的に開発環境からテスト環境に、テスト環境からデプロイ環境に情報を移すことです。7.0ではプロセスまたはサービス、その依存関係をチェックして、必要な情報を自動的に調べることができます。

 SOAの普及という面でいうと、アドバンストWebサービスの実現がポイントです。従来のESBのWebサービスサポートは、SOAP/HTTPとSOAP/HTTPSがよく使われていましたが、SOAP/JMSと比べるといろいろな欠点があって、ミッションクリティカルでは使えないと思われてきました。欠点とはまず信頼性、そして非同期のサポートです。

 私たちは、アドバンストWebサービスの仕様を実現しました。WS-Reliable Messaging、WS-Addressing、WS-Security、WS-Policyの4つをいっしょに提供することで、従来の欠点に対応できるようになるでしょう。これは仕様ベースの話でどのベンダでも同じことがいえると思いますが、私たちの実装は特許であるCAA(Continuous Availability Architecture)によって、スピード、信頼性、可用性を同時に実現するWebサービスを提供しています。これはメッセージング指向ツールのベンダならではなのではないかと思います。

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ソニック ソフトウェア

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