CodeGearの戦略

「Ruby IDE from CodeGear」近くリリース、CodeGear

2007/08/27

 ボーランドの開発ツール部門「CodeGear」のエヴァンジェリストであるマルコム・グローブ(Malcolm Groves)氏が来日した。CodeGearの基本戦略を改めて紹介しながら、2007年後半にリリース予定の「Ruby IDE from CodeGear」などいくつかの新しい製品についても触れた。

CodeGear写真 マルコム・グローブ氏

 ボーランドがプログラマ向けの開発支援ツールを提供し始めた20年前と比べ、現在のソフトウェア開発を巡る状況は大きく異なる。開発の規模は劇的に拡大する一方で開発期間は短縮傾向にある。携わる人員数の多さ、(開発に)関係する企業の国籍も多様になり、プロジェクトの複雑性は上がり続けている。開発ツールのあり方も変化した。オープンソース技術の導入を無視するのは「愚かなことだ」とグローブ氏は言う。

 CodeGearの基本路線は、プログラマのためのプログラム開発支援ツールの開発である。それはボーランドが当初目指していた基本路線の継承ということでもある。この基本路線を踏まえながら、ソフトウェア開発の最新の潮流を取り入れた製品開発に取り組む。

 新しい成果の1つがPHP向けのRAD(Rapid Application Development)環境「Delphi for PHP」だ。Delphiで支持されるビジュアルRADフレームワークをPHPに対応させた。

 プログラム開発支援ツールを開発するための正統的なアプローチは、ターゲットとする開発言語環境における課題を見つけ出し、それらを解消する機能を実装することだ。グローブ氏は、PHP開発者にとっての課題として、RAD環境がないこと、統合デバッグ機能が乏しいこと、フレームワークやライブラリ実装が乱立していること、MVC実装も乱立していること、コンポーネントの標準規格が欠如していることなどを指摘する。「Delphi for PHP」はPHP初のビジュアル統合開発環境として開発され、「CodeGear」の新しい出発を象徴する製品となった。

 2007年後半(グローブ氏は数週間以内と発言)には「Ruby IDE from CodeGear」のリリースを予定している。RubyおよびRuby on Rails向けの統合開発環境である。「コーディングにおける作業の多くは、(コードの)変更など保守に費やされるものだ」とグローブ氏は言う。Rubyによるアプリケーション・フレームワーク「Ruby on Rails」が開発現場で威力を発揮するのは、実はこのような地味なメンテナンス作業を効果的にサポートする特徴にあるともいえる。ゆえに、「Ruby IDE from CodeGear」の開発においては、独自のフレームワークを追加するのではなく、RubyおよびRuby on Railsの開発でさらに生産性を高める機能とは何か、を考え実装した。また、特徴的なのは、IDEとしての特徴(ソースコード管理、依存関係の管理、デバッグなど)を生かしながら、コマンドラインでの開発も可能な点。初心者だけではなく、熟練Rubyプログラマへの配慮も忘れていないところに、プログラマを重視するCodeGearの志が表れている。

(@IT 谷古宇浩司)

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