リモーティング、メッセージングのOSS
アドビ、「BlazeDS」はAjax+JSONの4倍速い
2007/12/18
アドビ システムズは12月18日、米アドビがLGPLv3に基づくオープンソース化を発表したリモーティング、メッセージングのソフトウェア「BlazeDS」についての説明会を開催し、BlazeDSのリモーティング機能を使うことでFlexアプリケーションの通信が「Ajax+JSONの4倍以上高速になる」と強調した(参考記事:Adobe、オープンソースプロジェクト「BlazeDS」を公開)。
BlazeDSはアドビのサーバソフトウェア「LiveCycle Data Services ES」のリモーティング、メッセージング、データマネジメントの機能をオープンソース化した製品。2008年はじめにFlexの次期版やAIRの正式版と同時にリリースする予定。アドビはBlazeDSがサポートするバイナリ通信のフォーマット「Action Message Format 3」(AMF3)の規格も公開した。
BlazeDSを使うことでFlexやAIRのアプリケーションと、Javaや.NET、PHP、Rubyなどで構築したバックエンドシステムとの連携が容易になり、効率化する。現状、Flex、AIRなどのアプリケーションとバックエンドシステムを通信させる場合、HTTP経由のXML/SOAPを使うケースが多いが、アドビのマーケティング本部 エンタープライズ&デベロッパー マーケティング部 部長の小島英揮氏は「リッチクライアントにとってはパフォーマンスが不十分」と指摘する。「Ajaxと同じテキストベースの通信のため冗長」というのだ。また、サーバサイドの既存のビジネスロジックの再利用が難しかったり、サーバからクライアントにプッシュする標準的な手法がない、などの問題もある。
BlazeDSは、リモーティング機能とバイナリ通信のAMF3を使うことでリッチクライアントとバックエンドシステムとの通信を高速化する。5000件の個人データをロードするアドビが用意したデモンストレーションによると、AMF3を使うFlexアプリケーションの通信は、JSONで通信するAjaxアプリケーションやXMLを使うFlexアプリケーションと比べて高速。AjaxとJSONに比べた場合、4倍以上高速だったという。
LiveCycle Data Services ESはRTMPベースのメッセージング機能を持つが、BlazeDSはHTTPベースのメッセージング機能。サーバからクライアントへのデータのプッシュや、クライアントから別のクライアントへのプッシュを実現する。この機能を使うことでリアルタイムのチャットサービスなどが実現するという。
ただ、RTMPベースのLiveCycle Data Services ESが1CPU当たり1000クライアントをサポートするのに対して、HTTPベースのBlazeDSが対応するのは100クライアントまで。LiveCycle Data Services ESには1CPU限定で無償の「Express」エディションも用意されていて、一部コードを変更するだけでBlazeDSから乗り換えられるという。アドビはBlazeDSの認定ビルドにサポートやソフトウェア保証などを加えた「LiveCycle Data Services Community Edition」もサブスクリプションによる有償で提供する。
上記のようにLiveCycle Data Services ESには無償版がすでにあり、開発者がBlazeDSを使う意味合いはそれほど強くない。しかし、小島氏は「オープンソースにすることでデベロッパの心理的な障壁をなくしたい」と語る。アドビは2007年4月にFlex SDKをオープンソース化。それに伴って開発者が増大したという「オープンソースの成功体験」(小島氏)がある。ちなみにFlex SDKのダウンロードが一番多いのは日本から。アドビはBlazeDSをオープンソースソフトウェアとして公開することでデベロッパの注目を集め、サーバサイドのテクノロジに関わるデベロッパの数が増えることを期待している。
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