ユーザーの巻き込みが加速

「もちろん、ニコ動は知っている」、米アドビが語る放送の未来

2008/01/31

 「もちろん、ニコニコ動画は知っている。ビデオとWebが同期して進行していくのがとても興味深いね」。米アドビ システムズで「Adobe Flash Media Server 3」「Adobe Media Player」などを担当するダイナミック メディア担当プロダクト マネジメント ディレクターのサイモン・ヘイハースト(Simon Hayhurst)氏は、Flash Videoを活用した日本発のサービスであるニコニコ動画をこう評価する。ビデオとWebサイト、ユーザーの間でインタラクティブなやり取りを可能にするのは「現在のトレンド」とヘイハースト氏は語る。

adobe01.jpg 米アドビのダイナミック メディア担当プロダクト マネジメント ディレクターのサイモン・ヘイハースト氏

 YouTubeなどが採用し、Webのビデオ配信方式としてメジャーになったFlash Video。ヘイハースト氏は開発者にとっての扱いのしやすさとともに、FlashとAction Scriptと組み合わせることによって配信コンテンツをインタラクティブにできる点が開発者に受け入れられたと説明する。インタラクティブの成功例の1つはニコニコ動画であり、米国での成功例は政治風刺アニメーションの「JIBJAB」という。

 「今後のブロードキャストは、従来どおりの見るだけのモードと、視聴者自身が放送に関わる(engage)、インタラクティブなモードの2つが標準になる」とヘイハースト氏は語る。インタラクティブモードでは、視聴者が放送コンテンツに関わるだけでなく、リアルタイムで起きているイベントや視聴者同士のコミュニケーションが重要になり、「ユーザーを巻き込める可能性が広がる」という。

 インタラクティブな視聴体験の可能性を高めるためにアドビが開発を進めているのが、Flash Videoのプレーヤーである「Adobe Media Player」。ランタイムのAdobe AIR上で稼働するクライアントアプリケーションで、Flash Videoをローカルで見られると同時に、コンテンツプロバイダや放送局のビジネスを支援する広告配信や課金の仕組みが備わっているのが特徴だ。

adobe02.jpg Adobe Media Player

 Adobe Media Playerのインターフェイスはカスタマイズ可能で、コンテンツプロバイダは、自社のコンテンツに合わせた内容に変更できる。動画広告はコンテンツの再生前、再生中、再生後のどこにでも挿入可能。オンライン、オフラインなど視聴者の閲覧状態に応じて広告内容を変える機能もある。さらに再生中の動画内に広告を表示する「バグ広告」や、クリックすることで動画内にウィンドウが開き、商品などを購入できる「スポット広告」もある。広告の挿入はSMILで定義するという。

 ヘイハースト氏は「ユーザーごとのパーソナライズ広告を流し、どのユーザーがどのようにコンテンツを視聴したかを把握できる。その結果からメタデータを取得し、新しいビジネスを生み出せる」と説明した。「アドビはテクノロジプロバイダなので、コンテンツプロバイダのどのようなビジネスモデルにも対応する。Adobe Media Playerはさまざまなビジネスモデルに対するオープン性がある」。Adobe Media Playerは現在、プレリリース2。ヘイハースト氏は「ブロードキャストと視聴者の橋渡しをできるようにしたい」と意気込む。

(@IT 垣内郁栄)

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