2010年には4800万人がWiMAX利用と予想
富士通が世界最小、「隅っこ」サイズのモバイルWiMAX基地局
2008/02/06
富士通は2月6日、一体型で世界最小サイズのモバイルWiMAXの基地局装置「BroadOne WX300」を開発し、世界で販売開始すると発表した。高出力でありながらコンパクトなサイズに仕上げ、基地局の設置場所探しに困るモバイルWiMAX事業者に訴求する。富士通は「5年で10万台を売りたい」としていて、WiMAX基地局全体で3年以内に世界市場で20%以上のシェア獲得を目指す。
WX300は電源、GPS受信機、ネットワークインターフェイスを内蔵する一体型で、電源とアンテナ、GPSアンテナ、ネットワークを接続すれば機能する。3G携帯電話の基地局開発で培った、アンプから発生するひずみを修正する技術「歪補償回路」などを応用し、容積20リットル、重さ20kgと小型、軽量に仕上げた。対応帯域は5MHz、10MHz、20MHz。MIMOに対応し、2系統のハイパワーアンプを内蔵。1系統当たり10Wで計20Wの送信出力がある。消費電力は200W以下。電力効率を従来製品の約2倍に向上させた。
富士通の常務理事 モバイルシステム事業本部長 岩渕英介氏は基地局の小型化で「建設コスト、運用費用を削減できる」と説明する。モバイルWiMAXサービスを行う事業者はビルの屋上などに基地局を設置する必要がある。だが、主なビルの屋上はすでに携帯電話の基地局が置かれていて、モバイルWiMAXの基地局設置が難しいことが予想される。
オールインワンで小型サイズのWX300なら「屋上の隅っこに転がしておける」(岩渕氏)というメリットがある。小型サイズのためビルオーナーの理解を得やすく、借地代、電気代などのランニングコストも抑えられるとみている。岩渕氏によると専用のシェルターを用意する必要がある従来のモバイルWiMAXの基地局と比べると、WX300は「設置コストは半分以下、ランニングコストは3分の1以下になる」という。
価格は個別見積もり。米国やオーストラリア、シンガポールなど富士通の海外拠点を通じてキャリアなどに販売するほか、新たに製品の相互供給を行うことにした米Airspan Networksの販売チャネルも活用して拡販する。出荷開始は4月。
富士通はWiMAX基地局が2008年から先行して拡大し、その後2010年にLTE(Super3G)の基地局ビジネスが立ち上がると見ている。 WiMAXが既存のIPネットワークと相性がよく、すでに固定系を中心にサービスが始まっているのに対して、LTEはまだ標準化プロセスの途中。「機能や実現性によって世界中のキャリアがWiMAXベースのサービスを提供すると思っている」(富士通の経営執行役上席常務 弓場英明氏)という。
WiMAXは固定系から始まったサービスがモバイルに拡大し、2010年には世界で4800万人が使うようになると富士通は予測する。また、同社のWiMAXとLTEの基地局、機器ビジネスは2011年度に約4000億円規模になると見込んでいる。
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