米オラクル担当者インタビュー
データベースはコモディティ化しない
2008/02/13
「データベースがコモディティ化する議論はたびたび起きているが、実際はその逆だ」。米オラクルのDatabase Product Management担当バイスプレジデント マーク・タウンセンド(Mark Townsend)氏は、オープンソース製品などの台頭で議論が起きているデータベース製品のコモディティ化について、こう反論した。「企業の情報の扱いそのものが変わってきている」ことがその理由だ。
フリーで使えるMySQL、PostgreSQLの利用が広がり、情報システムにおけるデータベースの位置付けが変わりつつある。商用製品を慎重に検討して導入するのではなく、オープンソースのデータベースをとりあえず導入し、サービスを構築するケースも多くなっている。商用製品の機能や特性がそれほど注目されなくなっている面もある。ただ、どのようなサービスであってもユーザーやトランザクションが増えることで、「巨大なデータベース、高信頼、セキュリティが必要になる。そのいずれもがOracle Databaseの得意分野だ」とタウンセンド氏は語る。
また、Amazon Web サービスなど豊富なコンピューティングリソースをインターネットの“クラウド”上に用意し、スタートアップのテクノロジ企業がハードウェアを用意せずにサービス展開が可能な環境も整いつつある。タウンゼント氏は、クラウドのコンピューティングリソースを利用する環境が一般的になっても、Oracle Databaseの機能は企業に必要と説明。「SaaSのような話題のサービスもOracle Databaseで提供されるケースが多い」と話し、インターネットのユーザー企業側、プロバイダー側の両方でOracle Databaseはメリットを発揮できると語った。
特に中国やインドの膨大なユーザーを対象にしたサービスでは、「サービス提供企業は数ペタバイトのデータ量を扱うことになる」と指摘。そのような多数のユーザーが利用するサービスでは「まさしく、データベースが軸になるだろう」と話した。
データベースの非コモディティ化を印象付けるのが最新版の「Oracle Database 11g」でオプション提供する「Oracle Real Application Testing」(RAT)。アプリケーションを本番環境で稼働する前にテストする機能だ。一般的なテストツールを使ったテストでは半年近くかかる工程が、RATを使うことで大幅に短縮可能という。「Oracle E-Business Suite」を使ったオラクルのテストでは140日のテスト工程が6日に短縮できた。
タウンセンド氏はRATの機能を「本番環境を完全にキャプチャしてテスト環境を再現できる」と説明。本番環境をシミュレーションするためテスト結果の質も高く、「環境の変化を嫌う顧客でも、ほかのプラットフォームやアプリケーションを短期間で試すことができる」と話した。
Oracle Database 11gはこれまでストレージベンダが得意としてきた情報ライフサイクル管理(ILM)機能もデータベースに実装した。ILMとは情報のアクセス頻度やビジネス上の価値に従って格納するストレージを割り振る機能。重要でアクセス頻度の高いデータは高信頼なハイエンドストレージに格納、アクセス頻度が落ちたデータは低コストなアーカイブ用ストレージに格納するなどの使い方をする。
タウンゼント氏はストレージベンダがこれまで提供してきたILM機能について、「ストレージシステムはデータの意味が分からない。十分なビジネスルールの設定もできない」と指摘。対してOracle Database 11gは「データの意味を理解し、ビジネスルールを実行できる」と強調した。また、異なるベンダのストレージシステムが混在する環境に対しても Oracle Database 11gのILM機能は有効として、「ILMはデータベースレベルで使うのが最適だ」と話した。
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