新戦略で開発者支援を強化
樋口COOがマイクロソフト社長就任へ、「人でも一流の会社に」
2008/02/28
マイクロソフトは2月28日、ダレン・ヒューストン(Darren Huston)氏が代表執行役 社長を退任し、現・代表執行役兼COOの樋口泰行氏が4月1日付で代表執行役 社長に就く人事を発表した。マイクロソフト日本法人の日本人社長は5年ぶり。樋口氏は「身の引き締まる思い。日本市場に根ざして、顧客、パートナー、社会全体から信頼される会社にしていきたい」と抱負を述べた。
松下電器産業出身で、日本ヒューレット・パッカードやダイエーで社長を務めた樋口氏は2007年3月にマイクロソフトに入社し、代表執行役兼COOとして法人向けビジネス全般を担当した。ヒューストン氏の後任として社長に就任することは既定路線だったが、ヒューストン氏がマイクロソフト本社で新しい組織であるコンシューマ&オンライン インターナショナルのコーポレートバイスプレジデントに就くことが決まり、このタイミングでの社長就任になったようだ。
発表会見に同席した米マイクロソフトのインターナショナル担当プレジデント ジャンフィリップ・クルトワ(Jean-Philippe Courtois)氏は樋口氏について「最初の半年で300以上の顧客、パートナーを訪問し、その声に深く耳を傾けた。マイクロソフトのこれからの最もよいリーダーと考える」と評価。ヒューストン氏が2005年の社長就任時に掲げた3カ年計画の「Plan-J」によって「日本法人の基盤ができあがった」として、「樋口氏が(日本法人を)次のレベルまで持っていけると信じている」と話した。樋口氏はマイクロソフトの新年度になる7月にも新戦略を発表する見通し。
人でも一流の会社になる
「率直に言うと割と売れていた時代を経験した人材が多いので、競合と戦いながら顧客の心を握ってしっかりビジネスをやるには、これからもっともっと頑張らないといけない」。樋口氏は発表会見でマイクロソフト日本法人のいまの課題をこう説明した。企業へのIT導入やPCの販売が右肩上がりで伸びていた時代が終わり、マイクロソフトの前にはGoogleやSaaSの台頭などこれまでとは別種の課題が浮上している。樋口氏はこれらの課題に対応し、新しい時代にもマイクロソフトが生き残っていくには「日本市場に根ざして、顧客、パートナー、社会全体から信頼される会社」になる必要があると考えている。IT業界のパートナーや顧客として外部からマイクロソフトを見てきた樋口氏には、マイクロソフトは「顔が見えにくい」と映る。
日本法人の直近の課題が法人向けビジネスなのは間違いない。「Windows Vista」や今年登場する次期サーバOS「Windows Server 2008」、データベースの「SQL Server 2008」などで早速、樋口氏の手腕が問われることになる。日本企業は取引先に人と人の関係の構築を求める。「あの人が売るなら間違いない、トラブル時にはあの人に相談しよう」という信頼がビジネスが基本だ。樋口氏は「信頼」という言葉を繰り返し使い、「健全なる企業文化が保たれない限り、会社は成長してもだめになっていくということを過去の経験から肌で感じている。人という切り口でも一流の会社になれるように頑張っていきたい」と強調した。
日本の開発者との信頼関係の構築にも力を入れる予定で、樋口氏は7月に発表する新戦略で、開発者支援の新施策を打ち出す考えを示した。英語の技術情報を積極的に日本語に翻訳し、開発者がマイクロソフト製品を導入しやすくする。
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