Oracle TimesTenが実現
レスポンス80マイクロ秒以下の世界とは
2008/03/14
「80マイクロ秒以内のレスポンスを実現するにはOracle TimesTenしかなかった」。米オラクルのリアルタイム&エンベデッド データベース製品開発担当 バイスプレジデント マリーアン・ニーマット(Marie-Anne Neimat)氏は、ドイツ証券取引所がインメモリ・データベース「Oracle TimesTen」を採用した理由をこう説明する。手作業のカスタマイズでは実現できなかったレスポンス時間の短縮をTimesTenで可能にしたという。
TimesTenはデータ全体をメモリ上に格納するリレーショナル・データベース管理システム(RDMS)。アプリケーション層で動作し、複数のスレッドやプロセスが同一のデータストアを共有する。アプリケーション・プログラムと同一プロセスで動作し、メモリ上に直接アクセスするアーキテクチャのため、高速レスポンスが可能。Oracle Databaseのキャッシュとしても動作し、アクセス頻度の高いデータをストアしてシステム全体のレスポンス性能を向上させることができる。
ドイツ証券取引所は金融機関からのリクエストを別の取引システムにルーティングするアプリケーションでTimesTenを使っている。当初は Oracle Databaseのみでルーティングを行っていたが、どれだけチューニングを行っても「リクエストの95%を80ミリ秒以内に成約させる」という金融機関とのSLA(サービスレベル・アグリーメント)を達成できなかったという。そのためTimesTenをOracle Databaseのキャッシュとして採用し、レスポンスを80ミリ秒以下に向上させた。「SLAの違約金を節約できた」(ニーマット氏)という。
TimesTenはアプリケーションのリアルタイム性能が求められる通信企業や金融企業などでの利用が先行していたが、Webベースのアプリケーションでも使われ始めているという。多いのはWebを使った航空券の予約システム。キャッシュ部分にTimesTenを使うことで、レスポンスを短縮できる。TimesTenでキャッシュすることで、ユーザーの操作性をよくすると同時に、トランザクションによるバックエンドへの負荷を軽減できるとニーマット氏は説明する。ドイツ証券取引所のようにシステムを高速化するために既存システムの一部をTimesTenに肩代わりさせるケースも増えているという。
TimesTenは2005年6月のオラクルによる買収以降、Oracle Databaseとの連携を強めている。最新版のバージョン7ではオラクル独自の拡張SQLをサポート。ニーマット氏はTimesTenの新バージョンをオラクルの2009年度に当たる2008年6月から2009年5月の間に発表することを明らかにし、「Oracle Databaseと同じAPIを利用できるようにしたり、Oracle Call Interface、PL-SQLをサポートするなどさらにOracle Databaseとの互換性を高める」と話した。
関連リンク
関連記事
情報をお寄せください:
- Oracleライセンス「SE2」検証 CPUスレッド数制限はどんな仕組みで制御されるのか (2017/7/26)
データベース管理システムの運用でトラブルが発生したらどうするか。DBサポートスペシャリストが現場目線の解決Tipsをお届けします。今回は、Oracle SE2の「CPUスレッド数制限」がどんな仕組みで行われるのかを検証します - ドメイン参加後、SQL Serverが起動しなくなった (2017/7/24)
本連載では、「SQL Server」で発生するトラブルを「どんな方法で」「どのように」解決していくか、正しい対処のためのノウハウを紹介します。今回は、「ドメイン参加後にSQL Serverが起動しなくなった場合の対処方法」を解説します - さらに高度なSQL実行計画の取得」のために理解しておくべきこと (2017/7/21)
日本オラクルのデータベーススペシャリストが「DBAがすぐ実践できる即効テクニック」を紹介する本連載。今回は「より高度なSQL実行計画を取得するために、理解しておいてほしいこと」を解説します - データベースセキュリティが「各種ガイドライン」に記載され始めている事実 (2017/7/20)
本連載では、「データベースセキュリティに必要な対策」を学び、DBMSでの「具体的な実装方法」や「Tips」などを紹介していきます。今回は、「各種ガイドラインが示すコンプライアンス要件に、データベースのセキュリティはどのように記載されているのか」を解説します
|
|
キャリアアップ
- - PR -
- - PR -
転職/派遣情報を探す
「ITmedia マーケティング」新着記事
変わり続ける顧客、変わり続けるマーケティング 2024年に最も読まれた記事ランキング
マーケ×ITの最新潮流を伝えるITmedia マーケティング。2024年、読者はどんな記事に注目...
勘違いマーケター戦慄 消費者の約半数は「広告主に無視されている」と感じている件
「データに基づく顧客理解」「ハイパーパーソナライゼーション」などマーケティングかい...
AI・ARで「探索」 人より商品とつながるSNSの行く末――2025年のSNS大予測(Pinterest編)
ビジュアル探索プラットフォームとしての独自の道を進み続けるPinterestはもはやSNSでは...