ブレードの追加でリニアに性能を拡張

F5ネットワークス、最大16コア搭載可能なシャーシ型新製品

2008/04/16

 F5ネットワークスジャパンは4月16日、同社初のシャーシ型アプリケーション・デリバリ・コントローラ「VIPRION」の販売を開始した。負荷分散やSSL高速化、WAN高速化といった機能を提供する製品で、トラフィックの増加に対し、ブレードの追加によって迅速にパフォーマンスを拡張できる点が特長だ。

 同社は2007年に、負荷分散やSSLアクセラレーション、キャッシュや圧縮によるアプリケーション配信の高速化といった機能を提供する最上位機種「BIG-IP 8800」を投入している。BIG-IP 8800はマルチコアプロセッサを搭載するとともに、クラスタ・マルチ・プロセッシング(CMP)というアーキテクチャの採用によって、処理能力の大幅強化を図った製品だ。

 VIPRIONはこのBIG-IP 8800をブレード化して集約したものとも表現でき、2プロセッサ/2コア(計4コア)を搭載したブレードを最大4枚まで搭載可能だ。シングルブレード時で、SSLの処理能力は9Gbps、レイヤ4/7のスループットは10Gbps。4ブレード搭載(16コア)時の処理能力は36Gbpsという。

f501.jpg 新製品「VIPRION」と米F5ネットワークスのプロダクトマネージャ、ネイサン・メイヤー氏

 同社によると、単純にコアを追加していくだけでは、どのプロセッサ(コア)がどういう状態にあり、どのパケットを処理するかというやり取りによってオーバヘッドが生じ、性能はリニアに向上しない。これに対しCMPでは、トラフィックを各コアに配分する「Disaggregator」や高速ブリッジなどを開発し、組み合わせることにより、コア数の増加に比例した性能向上を実現する。

 また、複数のBIG-IPを導入し、DNSレベルでグローバルな負荷分散を行うことでも処理能力の向上は可能だが、「DNSの設定変更やネットワークインターフェイスの追加導入などの作業が必要となり、あまり効率的な方法ではない」(米F5ネットワークスのプロダクトマネージャ、ネイサン・メイヤー氏)。

 これに対しVIPRIONでは、ブレードを追加すると自動的に再構成が行われる。また、ネットワーク的にも、1つの仮想IPアドレスと見なされ構成を変更する必要がなくなるため、運用管理の手間も省くことができるという。

 VIPRIONの価格は、シャーシ本体がAC電源モデルで699万円、ブレードはノーマル仕様で1979万円など。通信事業者やデータセンター、トラフィックの急増が見込まれる金融サイトなどを対象に販売していく。

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(@IT 高橋睦美)

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