パートナーとともに仮想エッジサービスを推進

WAN最適化のリバーベッド、「次はブランチオフィスを支援」

2008/04/22

 日本のブロードバンド接続の普及率は高く、安価に帯域を入手できる。しかし、それが即、アプリケーションのパフォーマンスにつながるとは限らない。

 「帯域があっても、遅延の問題によって期待通りのアプリケーションパフォーマンスは得られない」と米リバーベッドテクノロジーのアライアンス担当シニアディレクター、ベヌゴパル・パイ(Venugopal Pai)氏は述べた。だが、同社のSteelheadアプライアンスでは、帯域を増強することなくアプリケーションパフォーマンスを改善できるという。

riverbed01.jpg 米リバーベッドテクノロジー アライアンス担当シニアディレクター ベヌゴパル・パイ氏

 リバーベッドは、独自OS「Riverbed Optimization System」(RiOS)を搭載したWAN最適化アプライアンス製品「Steelhead」を提供している。

 Windowsのファイル共有やExchange Server、Lotus Notes、あるいはSAPといった企業アプリケーションの多くは、LAN環境での動作を前提としてきた。このため、地方の拠点などからWAN越しにこれらのサービスを利用しようとすると、反応の遅さに悩まされることになっていた。Steelheadは、データ送信の最適化などの機能を通じて、WAN越しでも高いパフォーマンスを実現する製品だ。

 これにより、企業のビジネスプロセスの効率化につながるとパイ氏は述べた。「ある企業では、Siebel CRMに適用することで、それまで1コールの処理に90秒かかっていたのが70秒に短縮された。その数字だけ見ればたいしたことはないかもしれないが、コールセンター全体のROIを見ると大きなインパクトがある」(同氏)

 同様に、バックアップ/リカバリに要する時間の短縮によって、ただ単に快適にアプリケーションを利用できるようになるだけでなく、「企業のビジネスプロセスの改善、効率化につながっている」とパイ氏は述べている。

不可能だったサービスを可能に

 リバーベッドは現在、幅広い分野のベンダを対象に、パートナープログラム「Riverbed Technical Alliance」を展開している。パートナーの製品とSteelheadとの組み合わせについて、動作検証やドキュメントの作成を共同で実施し、「パフォーマンスがどの程度改善するか、顧客が事前に情報を得られるようにする」(パイ氏)。

 例えばIBMやSAP、文書管理製品を提供するインターウォーブンといったアプリケーションベンダだけでなく、仮想化やストレージ、ワイヤレス、さらにはセキュリティやネットワーク管理などさまざまな分野のパートナーが参加しているという。

 この延長線上には、2月に発表された仮想エッジサービス「RiOS Services Platform」(RPS)がある。リバーベッドのサービスだけでなく、パートナー各社のサービスをWAN最適化プラットフォームの上で、つまりSteelhead上で動作できるようにするものだ。これまで提供してきたアプリケーションの高速化やストレージの最適化、利用帯域の削減といった中核機能にプラスαされる追加サービスという位置付けだ。

 「ファイルサーバやExchange Serverの(データセンターへの)統合はすでに実現できている。次に、ブランチオフィス側でわれわれが手助けできることは何かを考えた結果できたのが、RSP。統合の次のフェーズということだ」(パイ氏)。

 同氏によると、ファイルサーバなどを統合した後でも、地方拠点にはDNS/DHCPサーバやプリンタサーバなどが残されている。加えて、ストリーミングやセキュリティといった機能のためにもアプライアンスが複数導入されており、その運用管理コストが負担になっているという。

 これに対し、RPSを提供することにより、リモートオフィス側に置かれているさまざまなサービスを統合することができるとパイ氏。すでに、IPアドレス管理に関してはInfobloxと、またセキュリティについてはセキュアコンピューティングと協力し、Steelhead上で動作するようにしていく計画だ。

 「パートナーにとっては、すでに存在するWAN最適化プラットフォームの上でいろいろなサービスが動作するというメリットがあるし、ユーザーにとっても、運用管理コストの削減が可能になる」(パイ氏)。引き続きRSPでの協力関係を拡大し、「RSPを活用して、これまで不可能だったことを可能にしていきたい」と述べている。

(@IT 高橋睦美)

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