位置情報だけでなくより深い情報を活用
「モビリティを一段上の次元に」、シスコがワイヤレス関連の新製品
2008/05/29
シスコシステムズは5月29日、無線LANをより効果的に活用するための新製品「Cisco 3300シリーズ モビリティ サービス エンジン」(MSE)を発表した。位置情報やスムーズなハンドオーバーといったサービスを実現するための基盤となるアプライアンスで、同社が提供する「Cisco Motion」構想の鍵となる。
同社はこれまで、802.11a/b/g対応の無線LANアクセスポイントやWiMAXといった、無線ネットワークを構築するための製品を提供してきた。しかし「モビリティとは、デバイスだけではない。デバイスとアプリケーション、サービス、そしてネットワークが一体となり、拡張性と柔軟性を備えたもの」だと、同社のワイヤレスネットワーキングビジネスユニットマーケティング担当副社長、マチェイ・クランツ氏は述べた。
Cisco Motionは、MSEアプライアンスをプラットフォームとし、その上で無線の利便性を生かしたさまざまなサービスを利用できるようにするものだ。シスコではこの構想に沿って、複数のソフトウェアスイートを提供していく。
その1つが、「Cisco Context-Aware Software」だ。携帯機器やRFIDタグなどと連携し、単にどのデバイスがどこにいるかという位置情報だけでなく、そのデバイスがどういう状態にあるのかといったより深い情報を収集し、活用できるようにする。
「例えば病院で看護師が人工心臓ポンプを探しているときには、そのありかだけでなく、患者がそれを利用しているかどうか、またその機器の一番近くにいて持って来ることができる人は誰かという情報まで提供する。問題解決のために必要なリソースを把握することができる」(同社)という。
2つ目の「Adaptive Wireless Intrusion Prevention System」は、ワイヤレスネットワーク機器からさまざまな情報を収集し、不正なアクセスポイントを検出するほか、DoS攻撃やゼロデイ攻撃を検出、ブロックする。特徴は、既存のさまざまなセキュリティデバイスやアプリケーションとAPIを介して連動し、情報を整理して優先順位を付け、さらに位置情報なども組み合わせてながらセキュリティの改善を支援できることだ。
3つ目の「Cisco Secure Client Manager」では、ダイナミックなプロビジョニングにより、クライアント管理を支援する。将来的に多数の無線デバイスが導入されると、「管理者にとっては大きな悩みになる。IT予算の50〜70%がその管理に費やされることになるかもしれない」(クランツ氏)が、認証やプロビジョニング、ログ管理などを一元的に行えるようにし、手間を簡素化する。
最後の「Mobile Intelligent Roaming」は、文字通り、携帯電話と無線LAN機器の間でシームレスなハンドオーバーを実現し、状況に応じて常に通信を継続できるようにする。端末が社外にあるときは着信を携帯電話に転送し、オフィスに戻ってきたらそのことを認識して無線LAN経由でアクセスするよう切り替えると行った作業を実現する。
シスコではこうしたソリューションを、パートナーとともに展開していく考えだ。すでにオラクルやIBM、ノキアといった企業と組んでソリューションの提供に取り組んでいるが、そのエコシステムを拡大させ、「モビリティをさらに一段上の次元に押し上げたい」(同氏)としている。
出荷時期は、Cisco 3300 MSEとCisco Context-Aware Softwareが7月、そのほかのソリューションは2008年第4四半期以降となる。価格は未定だ。
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