「DB2 Star Festival 2008」開催
「DB2 on Rails」も紹介、IBMが考えるDB2の方向性は
2008/07/08
日本IBMは7月7日、同社のデータベース「DB2」についての最新技術情報を紹介する「DB2 Star Festival 2008」を開催した。IBMが掲げる「インフォメーション・オン・デマンド」(IOD)コンセプトに則り、DB2と周辺テクノロジの技術情報が2トラックにわたって紹介された。
日本IBMのソフトウェア事業 SWテクニカルセールス&サービス ICP ITアーキテクトの久保俊彦氏は、「ビジネス継続を加速するDB2 9.5と仮想化による高可用性システム実践」と題して、V9.5の新機能を中心とした技術情報を紹介した。
同氏はV9.5で実装された機能の1つ、db2haicuコマンドを使ったクラスタリングソフトウェアのデータベース側での一元管理や、HADR(High Availability Disaster Recovery:高可用性災害時リカバリ)構成システムの技術情報などを紹介した。HADR構成は通常のActive-ActiveのHAクラスタ構成と比較して、各レイヤが完全に独立しているため、共有オブジェクトの取り扱いで問題が発生しない利点があるという。
また、DB2では「クライアントリルート」機能が提供されているため、障害発生時のタイムアウト設定を任意に行ったり、接続要求処理の方法を細かく設定できる。結果として、障害のいち早い検知やダウンタイムの縮小が可能になるという。
このほか、Power6プロセッサで提供されているLPM(Live Partitioning Mobility)機能による無停止でのサーバ移行デモなども披露された。
高まるマッシュアップニーズに対応
本イベントで出色だったのが、日本IBMのソフトウェア事業 SWテクニカルセールス&サービス シニアITスペシャリスト 中林紀彦氏の講演。同氏は度重なる法改正や、企業買収・統合などによって企業のビジネスプロセスがますます短命化していることを指摘したうえで、これからは「シチュエーショナル・アプリケーション」へのニーズが強まる、と語った。
シチュエーショナル・アプリケーションとは、既存の情報や公開情報を組み合わせ、短期間で構築されるアプリケーションを指す。いわゆる「マッシュアップ」の手法で構築されたアプリケーションのことだ。期間限定で利用されるビジネスプロセスに対して、ゼロスクラッチでアプリケーションの開発を行うのは合理的でなく、もっと多くの公開情報資産を活用すべきである、という。
同氏は、1つの解として、7月2日に発表された「IBM Mashup Center V1.0」を使い、ローカルなデータと公開データを組み合わせて再利用する手法について紹介した。国内事例として、フェアリーウェア 代表取締役 黒田哲司氏が登壇し、同社が制作する移住情報提供サイト「Relocation Explorer」のプロトタイプを紹介した。
Ruby on RailsアプリケーションからDB2に接続
また、日本IBM ソフトウェア事業 テクニカル・セールス 技術理事の大沼啓希氏は、「DB2 on Rails」と題し、サードパーティ製のibm_dbドライバを利用し、Ruby on Railsで開発したアプリケーションからDB2に接続する方法を紹介した。
ODBCドライバとほぼ同等の方法で利用できるため、ODBCによるデータベース接続の経験があればすぐに利用可能だという。
同日、同会場で開催された懇親会では、Ruby開発者のまつもとゆきひろ氏がゲストとして登壇。エンタープライズ用途でのRubyの注目について語るなど、軽量言語を使ったWebアプリケーション開発への関心度の高いイベントとなった。
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