アイデアと技術のある人にインフラを間貸し

米ヤフー、検索インフラを他社に完全開放

2008/07/10

 米ヤフーは7月9日、同社のインフラを使ってカスタム検索サービスを開発できる「Yahoo! Search BOSS」(Build your Own Search Service)プラットフォームを発表した。これまでにも同社は検索関連APIを公開していたが、1日の上限クエリ数が5000であるほか、検索ランキングの入れ替えができないなどの制限があった。BOSSでは、こうした制限をほとんど取り払い、クエリ数は無制限で、サービスのデザインや見せ方も利用者が決められるようになった。検索サービスのアイデアを持つベンチャー企業などが、ヤフーのインフラやインデックスを使いつつ、完全に自社サービスであるかのように見せることができる。

boss01.png Yahoo! Search BOSSのページ

 近い将来には、ユーザーが独自に作った検索サービスから収益を上げることも可能にしていくという。その場合はヤフーとの収益を分ける形になる。

 インターネット全体を対象とした検索サービスの構築には大きな初期投資が必要だ。クローリング、インデックス作成といった技術や、関連性、機械学習のアルゴリズム、データセンターのサーバや電源など多くのインフラ投資が必要で、ヤフーやグーグル規模の検索サービス構築には最低でも数百億円の投資が必要だという。こうした事情からパートナー企業に同社のインフラを開放するという。ケーブルTVの登場で、チャンネル数が増え、視聴者の利便性が高まったのと似たように、多様な検索サービスをホストするモデルを目指すと説明している。

boss02.png ヤフーのAPIを利用して作られた検索サービスの例、「Cluuz」

 すでに、いくつかのスタートアップ企業がヤフーのインフラでユニークな検索サービスの提供を始めている。「Me.dium」はWebブラウザにツールバーをインストールするソーシャルサービス。Facebookや写真共有機能を統合しているほか、多くのユーザーが集まっているWebサイトを対象にした検索を行う。「Hakia」は自然言語処理技術を使ったセマンティック検索サービスを提供する。「Cluuz」は検索結果をクラスタリングして、タグクラウドや画像を整理した形で並べる検索サービスを提供している。

 APIはRESTで提供するが、ヤフーが保持する以外のデータやサービスとのマッシュアップ用にPythonライブラリも用意する。対象となる検索サービスはWeb検索、ニュース検索、画像検索の3つ。今後は対象を増やしていくという。

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(@IT 西村賢)

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