連携強化、統合で製品ラインを整理

パケッティア買収後の新生ブルーコートが始動

2008/07/17

bc01.jpg 米ブルーコートシステムズ社長兼CEOのブライアン・ネスミス(Brian NeSmith)氏

 2008年6月にパケッティアの買収を完了したことでWAN最適化アプライアンス市場でのシェアを28.8%(2008年第1四半期、米ガートナー調査)と、それまでの20%から大きく伸ばしたブルーコートシステムズ。2007年の同社の売上実績は約3億ドルだが、パケッティアを合わせると約5億ドル規模。WAN最適化市場ではシスコをしのぐ業界リーダーが誕生した格好だ。北米以外の海外市場の売り上げ比率も55%から合併後は60%に上がる。

 それぞれ十数名いた日本法人の組織も、すでに統合に向けて動き出している。

 7月17日に都内で会見を開いた米ブルーコートシステムズ社長兼CEOのブライアン・ネスミス(Brian NeSmith)氏は、改めて今回の買収の意義と、今後の製品戦略について説明した。

製品ラインを再構成

 WAN最適化製品は、アプリケーション高速化、セキュリティ、監視とQoS制御など多様化している。パケッティアとブルーコートシステムズの製品群は重なる部分もあったが、基本的に相互補完的な関係にあった。

 パケッティアの「PacketShaper」製品群は約600種のアプリケーションをレイヤ7レベルで分類し、運用状況を監視、測定する技術で強みを持つ。2007年5月にはWAN高速化アプライアンスの「iShaper」をリリースするなど製品ポートフォリオを広げつつあったが、同市場でパケッティアが出遅れた感は否めず、機能的にもMicrosoft Exchangeが使うMAPIやCIFSといったプロトコルの高速化や、WANレベルのキャッシュ機能などが欠けていた。

 これに対してブルーコートシステムズは、マルウェア対策、コンテンツフィルタリングといったセキュアWebゲートウェア製品からスタートし、2006年以降はTCP最適化や圧縮、キャッシュなどWAN高速化で強みを持つ製品シリーズ「ProxySG」で業績を大きく伸ばしている。市場の急拡大に合わせて大きく成長したブルーコートシステムズが、パケッティアの持つ可視化、QoS制御技術を買った形だ。PacketShaperは「Blue Coat PacketShaper」として販売していく。

 逆に両社で機能的に重複していたiShaper、SkyX、iSharedなどは販売を終了し、それぞれ対応するブルーコート製品に一部技術の追加実装をしながら統合していく。

 両社製品群の連携機能も強化していく。例えばWAN高速化アプライアンスで圧縮したパケットがPacketShaperから把握できなくなるという問題が起こることがあったが、秋をめどに相互連携機能を追加する。また、WAN管理プラットフォームは2009年の終わりまでにパケッティアの「IntelligenceCenter」に一本化していく。

 ネスミス氏は「セキュアWeb市場で見ればブルーコートのシェアは70%あったが、WAN最適化市場全体では20%だった。パケッティア買収の目的は市場シェア拡大と、600種のアプリケーションを分類するパケッティアの技術の獲得」にあったと話す。高い市場シェアを持つことで、より多くの研究開発費や販売チャネルの確保も可能だという。「例えば現在PacketShaperで600種に対応しているアプリケーションの数を1000に増やしたい」(ネスミス氏)。パケッティアは日本市場での活動時期が早かったこともあり、すでに多くの国内顧客を持っている。「PacketShaperは日本市場で強みを持っているので、これを軸にてこ入れしていく」(ネスミス氏)。

 ネスミス氏は競合他社と比較した場合のブルーコートシステムズ製品の強みについて、必ずしもアプライアンスを拠点間で対向させる使い方でなくても単体で効果を持つ点や、Salesforce.comなど外部アプリケーションでSSLを使っているような場合でも最適化のメリットがある点、音声、ビデオ、シンクライアントなどリアルタイム系のアプリケーションに対応する点などを挙げた。また今後については、MySpaceやFacebookといった若い層が組織内で利用することも増えている外部アプリケーションについても分類を行い、高速化とセキュリティ確保を行っていくことが重要だと話した。

(@IT 西村賢)

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