次期バージョンの3.1で搭載
JITコンパイラ搭載でJSを大幅高速化へ、Firefox
2008/08/25
IE7の9.3倍速いJavaScriptエンジンを搭載したという刺激的なうたい文句とともに2008年6月18日に登場したMozillaファウンデーションのWebブラウザ「Firefox 3」だが、次のマイナーバージョンアップ版であるバージョン3.1でも、再び大幅な高速化を実現しそうだ。
MozillaファウンデーションのBrendan Eich氏が8月23日付けのブログで明かしたところによれば、Firefox 3.1に含まれる新しいJavaScriptエンジンの「TraceMonkey」は、JITコンパイラを搭載したものとなる。現在のところx86、x86-64、ARMをサポートしている。最適化前の現時点でもすでに、Firefox 3に比べてFirefox 3.1に組み込まれるJavaScriptエンジンはSunSpiderベンチマークで約1.83倍の高速化、画像処理のベンチマークで6.46倍の高速化ができているという。JavaScriptエンジンで比較した場合、Firefox 3はFirefox 2に比べて3倍程度高速で、これを考え合わせるとこの1、2年でJavaScriptは劇的な高速化の局面にあるといえそうだ。
TraceMonkeyは、米アドビシステムズがActionScript用に開発したVM、「Tamarin」をオープンソースとしてMozillaファウンデーションに寄贈したものをベースに開発した。TamarinはFlash 9以降でも使われている。
Eich氏はブログの中で、Firefox以外のWebブラウザも今後JavaScriptエンジンにJITコンパイラを採用することになるだろうと予測している。MozillaプロジェクトのソフトウェアはJavaScriptで書かれる比率が上がっているため、JavaScriptの高速化は、そのまま自分たちのソフトウェアが軽快に動作することにつながる。この意味で、MozillaプロジェクトにとってJIT採用によるJavaScriptの高速化は重要な意味を持っている。
Eich氏は、ブログの中でこう述べている。「FirefoxやMozillaプロジェクトに対して意味があるとだけでなく、TraceMonkeyはわれわれすべてが待ち望んでいた光速度JavaScriptという未来をもたらしてくれるものとなるだろう。われわれはゴールポストを動かしてゲームのルールを変えつつある。それはすべてのWeb開発者にメリットをもたらすものだ」。
Eich氏は、JavaScriptの実行が高速になれば、Webブラウザ上で動かすには、あまりに遅くて実用にならなかったようなソフトウェアが、より多く移植・実装されるようになるだろうとしている。2次元グラフィックを扱うHTML5の新しいタグセット「Canvas」をJavaScriptと組み合わせることで、GUIのツールキットやゲーム、グラフィックなどのアプリケーションを実現する未来も、まもなくやってくるだろうとしている。Canvasでは、すでにFirefoxやOpera、WebKit(Safari)などInternet Explorereを除く多くのWebブラウザに実装されている。
MozillaファウンデーションのMike Schroepfer氏は8月22日付けのブログの中で、画像処理機能をWebブラウザで実装し、現行のFirefox 3とJIT付きJavaScriptエンジンとで比較するデモンストレーションを公開。「7倍速ければ何ができるだろうか?」という問いに対して1つの例を示している。
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