来るべき1/1000秒勝負の市場に向けて
サイベース、アルゴリズム取引対応の金融向け製品発表
2008/10/07
サイベースは10月7日、証券取引などの市場取引のためのデータ分析プラットフォーム「Sybase RAP - The Trading Edition」(以下、Sybase RAP)を発表した。2009年1月初旬に金融機関向けに販売を開始する。オンメモリでのリアルタイムデータ分析とストレージに格納された蓄積データ分析を駆使することで、迅速な市況判断が可能になるという。
Sybase RAPでは前日までのデータを高速データウェアハウスに格納し、秒単位の処理が必要な当日取引にはインメモリベースという二段構えの構成を取る。高速データウェアハウスは情報分析エンジン「Sybase IQ」を、インメモリデータベースはデータベース製品「Sybase ASE」をベースにしている。
Sybase RAPでは標準SQLでデータにアクセスできるため、従来に比べてアプリケーション開発にかかる期間・コストが低減するという。同社では、一般的な商用リレーショナルデータベースでの分析処理と比較して10〜1000倍の分析スピードが期待でき、また、データ格納サイズも最大で70%程度圧縮できるとしている。
発表会では金融コンサルティングサービスを提供するセレントのシニアバイスプレジデントであるニール・カタコフ氏が登壇、金融市場におけるアルゴリズム取引の現状を紹介した。
カタコフ氏によれば、データ分析をベースに機械的な発注処理を大量に行うアルゴリズム取引は欧米市場で急増している。同社の調査によれば、市場全体の取引に占めるアルゴリズム取引の比率は2003年に10%台後半だったが、2008年には約25%と年率13%程度の伸びを示しているという。
一方、日本市場では、金融市場取引で用いられるFIXプロトコルへの対応の遅れなどが要因となり、アルゴリズム取引はまだ一般的となっておらず、一部の外国証券会社がこの手法を取り入れている程度だという。
ただ、日本市場でも2009年には東京証券取引所が新システムへ移行するほか、今後アルゴリズム取引を行う海外トレーダーとの競争が活発になることなどから、今後は日本市場でも欧米同様にアルゴリズム取引の割合が増える、と同氏は予想している。
アルゴリズム取引では、大口取引を細分化して大量の注文処理を行い、市場に極端な影響を与えることなく、予測値に近い取引を実施する手法が採られる場合が多い。このため、アルゴリズム取引が増えると、市況分析はよりいっそう高速かつ大量にデータを処理する必要に迫られる。サイベース マーケティング本部 本部長 冨樫明氏によると、「欧米の市場ではすでに1/1000秒単位での市場分析と注文施行が要求されている」という。
「Sybase RAP」は、データストリームをリアルタイムに分析・施行するCEP(Complex Event Processing)製品と併用することで、秒単位の市況情報と履歴データをアドホックに分析することが可能。Aleri、Coral8、Streambaseの3社が提供するCEP製品との接続については既に動作検証済みとなっている。
日本では現在、CEP製品の販売は行われていないが、サイベースでは「Sybase RAP」販売開始と併せて、CEP製品も取り扱いを開始する予定という。
実稼働システム向けライセンスは1560万円、開発用ライセンスは468万円、スタンバイ用は390万円で提供する(いずれも1CPUコア当たりの価格)。同社による保守は年額で製品価格の20%。
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