独自言語Pixel Benderをサポート
米アドビ、Silverlight 2の翌日にFlash Player 10をリリース
2008/10/15
米アドビシステムズは10月15日、マルチメデイア再生ソフトウェア「Adobe Flash Player」の最新バージョン10を正式リリースした。米マイクロソフトが「Microsoft Silverlight 2」を正式リリースした翌日のリリースとなる。SilverlightとFlashはWebブラウザのプラグインとして動作し、対抗技術に位置付けられている。
米マイクロソフトは、10月10日の時点で「来週にはSilverlight 2を正式リリースする」と宣言しており(参考:Silverlight 2、来週ダウンロード提供開始へ)、その発表を受けて米アドビシステムズが対抗技術となるFlashの最新版を公開したという見方もある。
Flash Player 10は、従来の描画APIやファイルアップロード/ダウンロードAPI、ハードウェアアクセラレーション、クリップボードへの読み書きアクセスなどの機能強化に加え、主に以下の新機能を搭載した。
まずは、ネットワークの状況変化に自動的に対応し、通信品質(QoS)指標を利用したストリーミング機能。暗号化されたRTMFP(Real Time Media Flow Protocol)を利用して、メディア配信を保護することもできる。RTMFPは、TCP上でのRTMPと比べて安全性に優れたUDPベースのネットワーク転送手段といわれている。RTMFPのサポートは次期リリースの「Adobe Flash Media Server」を介して提供される予定。これらのストリーミング機能の強化はおそらく、同社のAodbe Media Playerにおけるストリーミング動画配信に大きな影響を与えるものと考えられる。
動的に音声を生成したり、ミキサーやシーケンサ、ゲーム用のリアルタイムオーディオ、オーディオビジュアライザなどのオーディオアプリケーションの制作も可能なサウンドAPIが追加。また、読み込んだMP3ファイルからオーディオデータを抽出し、サウンドバッファに供給するなどのローレベルの処理操作も可能にした。さらに、従来のADPCMやHE-AAC、MP3、Nellymoserオーディオに加え、高品質音声のオープンソースボイスコーデック「Speex」もサポートなど、音声面での機能追加も目立つ。
もちろん、画像や描画処理でも機能強化は行われている。2Dでデザインしたアセットを手軽に3Dへと変換、または3Dアニメーション化することが可能な3Dエフェクトもサポート。いままでActionScriptに詳しいユーザーや、サードパーティのライブラリを用いるユーザーにしか扱えなかったようなアニメーションも、3DエフェクトのAPIと「Adobe Flash CS4 Professional」の3Dツールによって、すべてのユーザーが利用できるという。
ActionScript 3.0テキストコンポーネントのライブラリや最新のテキストレイアウトエンジンを利用して“印刷品質”並みのテキストパブリッシングをWebでも実現できるとのこと。具体的には、複数のコラムにまたがる合字やインライン画像周囲の処理、双方向の文字配置、テキストの連結のサポートに加え、“縦書き”などが可能。また、デバイス内蔵フォントに、アンチエイリアスやスタイル、文字の回転を適用できる。加えて、オリジナルのテキストコンポーネントも開発可能。
Flash Player 10では、米アドビシステムズが独自に開発したプログラミング言語「Adobe Pixel Bender」をサポートした。これは「Adobe After Effects」の数々のフィルタおよびエフェクトに用いられているテクノロジでカスタムエフェクトやフィルタを作ることができる。
これらのエフェクトは、制作時にはAfter Effects CS4で、そしてライブ再生時にはFlash Player 10で使用できる。また、音声や数学関数などのデータを扱う際にも、これらを別途スレッドで非同期的に処理・フィルタ・ミックスできるという。Pixel BenderのツールキットはAdobe Labsより無償で利用可能だ。
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