開発者の収益は販売価格の70%
iPhone App Store対抗のAndroid Marketが正式オープン
2008/10/23
米グーグルは10月22日、Androidプラットフォーム向けのアプリケーション配布サイト「Android Market」を正式オープンした。スタート時点で公開されたアプリケーションは約50種。
現在公開されているアプリケーションには、Skypeクライアント、Amazon MP3販売サイト用クライアント、バーコードリーダー、料理レシピ集、位置情報を活用したリアルタイムソーシャルサービス、ゲームなど。すでに発売されたAndroid搭載端末、T-Mobile G1でダウンロードできる。ユーザーはアプリケーションごとにコメントを残したり、5段階で評価を付けたりできる。
現在無料のものだけが公開されているが、2009年第1四半期からは有料アプリケーションの配布も可能になる。
開発者は週明けの月曜日(2008年10月27日)から開発者登録を行い、アプリケーションをアップロードできる。開発者登録には初期審査費用として25ドルがかかる。いったん登録すれば、以降はアプリケーションの審査や認可は不要となる。
有料アプリケーションの場合、開発元は販売価格の70%を受け取る。残りの30%はキャリアと決済代行の費用として徴収。グーグル自身はAndroid Marketから収益を得ないという。
App Storeより自由度の高いAndroid Market
Android Marketは、アップルのiPhoneおよびiPod touch向けアプリケーションの配布サイト「App Store」とほぼ同等のソフトウェア流通の場を提供する。有料アプリケーションの場合に開発元に還元される金額の率も70%と同じだ。また、10月21日にはカナダのRIM(Research In Motion)がBlackBerry端末向けに同様サイト「BlackBerry Application Storefront」を2009年3月にオープンすると発表している。開発者は売り上げの8割と、App StoreやAndroid Marketより取り分が多い。
一方、アプリケーション配布の自由度の高さでAndroid Marketは際だつ。ほぼ無認可制のオープンさで開発者を惹きつける可能性がある。App Storeは開設以来、登録アプリケーション数やダウンロード数の急増で注目を集めているが、端末提供元のアップルによる恣意的な審査体制に対しては批判が根強い。BlackBerry Application Storefrontについては、ダウンロード可能なアプリケーションをキャリアが決定できるようになっている。よりキャリアに配慮したアプローチだ。
プラットフォームに“マーケット”は不可欠に
App Storeの華々しいデビューで、各種プラットフォーム提供者はアプリケーション販売のためのオンラインマーケットへの取り組みを強めている。モバイル端末向けではRIMのBlackBerry端末向けマーケットのほか、未確認ながら米マイクロソフトがWindows Mobile向けに「SkyMarket」と呼ぶマーケットの準備を進めているという情報もある。
また、モバイル端末向けとは異なるが、SaaSプラットフォーム上でビジネスアプリケーションを提供する米セールスフォースは、約3年前の2005年9月から「AppExchange」で開発者とユーザー企業を結びつけるオンラインの“マーケット”を提供している。また、SaaSでオフィスアプリケーションを提供するZohoも2008年9月末に「Zoho Marketplace」をスタート。約3週間が経過した10月22日現在、登録アプリケーションは約70と数少ないが、利用企業側からのリクエストに対して3人の開発者が開発を申し出てアプリケーションを提供するなどソフトウェアの流通市場の新しい形も見られるという。
PC時代のソフトウェア流通は、物理的なパッケージによるものが主流だったが、ネットワークが発達した現在、各種プラットフォーム提供者がオンラインで配布や課金を代行する“マーケット”を次々と開始している。開発者を惹きつける意味でも、利用者の利便性を上げるためにも、ソフトウェア実行プラットフォームには、何らかの“マーケット”機能が不可欠となっていくのかもしれない。
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