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【Top10】「海外メーカー好き」の今後
2008/12/01
先週の@ITNewsInsightアクセスランキングの第1位は日本市場からの撤退を発表したノキア・ジャパンについての記事「ノキア、日本のケータイ市場から事実上の撤退」だった。高級端末事業、R&Dなどは続けるとしているが、世界最大手の携帯電話メーカーが日本市場からいなくなるわけだ。ネット上からはノキア端末ファンの嘆きが聞こえてくる。
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ITデバイスを好むユーザーにはある一定の割り合いで「海外メーカーファン」がいるように思う。記者もその気があり、大学時代に購入した最初のPCはIBM製だった。新しい分野の製品は海外メーカーの製品の方が先進的で、新しい機能が加わっているケースが多いことに加えて、国内メーカーにはない洗練があるように思えた。海外メーカーのブランド戦略にあっさりと引っかかっているようにも思えるし、舶来信仰と言ってしまえばそれまでだが、ブランドを所有する楽しみというのもある。この気持ちは海外メーカーファンに共通すると思う。
ITデバイスがコモディティ化するとそのブランド信仰はどうなるのだろうか。海外のA社、国内のB社のどちらを買っても同じ機能、品質となるとブランドの維持は難しい。もちろん、デザインやサポートなどで差を付けることは可能だが、「A社でないとだめ」ということはなくなる。こうしてブランド価値は低下していく。ブランドを維持するには自社製品が他社と同じと思われないように独自性を追求し続けるか、対象ユーザーを絞り込み、リソースを集中するしかないように思う。ノキアが今後日本で事業を続ける高級端末は、対象ユーザーを絞り込んだ結果だろう。
難しいのはITの世界で急速にオープン性が価値を持つようになったことだ。携帯電話、スマートフォン向けのOSやプラットフォームはその急先鋒だ。グーグルのAndroid、ノキア傘下のSymbian OS、LiMoなどいずれもオープン性を指向している。OSやプラットフォームのオープン化と共通化が進む背景には、デバイス開発のコスト抑制ニーズと、アプリケーション開発者の囲い込みがある。開発コストが下がり、アプリケーション開発者が増えればデバイスメーカーにとっては万々歳だ。しかし、差別化が難しくなり、ブランドの構築と維持は困難になる。だが自社製品を差別化するにはコストがかかり、リスクもある。二律背反なのだ。
オープン化の流れとは一線を画すアップルのiPhoneは、孤高であるがためにブランドを維持している。しかし、アップルと言えどもユーザーのニーズとかけ離れた製品を出し続けていれば、ユーザーの心は離れてしまうし、マジョリティユーザーの獲得は不可能になる。孤高であるとは自社が全責任を負うということだ。すべてのデバイスメーカーが取れる戦略ではない。
多くのデバイスメーカーはOS、プラットフォームの共通化で開発コストを抑えつつ、限られた予算の中で独自機能、独自サービスを埋め込むことに躍起だ。デバイスメーカーの舵取りは極めて難しい局面なのではないか。
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