現時点での要件を洗い出し
グーグル、Chrome向けエクステンションのホスティングを計画
2008/12/02
グーグルが中心となって開発を進めるオープンソースのWebブラウザ、「Chromium」でエクステンション(機能拡張のためのプラグイン)のためのAPI実装と、その配布プラットフォームの検討が開始されたようだ。同社でChromeとGearsの開発に取り組んでいるアーロン・ブードマン(Arron Boodman)氏が11月29日付けのブログで明らかにした。Firefoxユーザーが使い慣れたような各種エクステンションと同じようなものをChromeでも開発・提供可能にしていくという。
ChromiumとChromeは厳密には異なる。Chromeは、Chromiumをベースにグーグルが独自にビルドしたWebブラウザで、ChromiumはオープンソースのWebブラウザ。ただ、両者は実質的に同等で、エクステンションについても、まったく同じものが動作することが設計の要件に盛り込まれている。
開発者向けに用意したエクステンションの設計要件をまとめたページによれば、Firefoxを強く意識しつつも、Firefoxが提供するエクステンションのための仕組みとは若干異なるフレームワークを提供しようとしているようだ。
例えば、エクステンションはChrome同様に自動アップデートを前提としているという。Chromeは最新バージョンが登場すればユーザーの確認を促すまでもなく、バックグランドで自動アップデートを行うが、エクステンションについても同様の動作が望ましいとしている。セキュリティについては、パッケージに電子署名を施すことで対処するという。エクステンション開発者の公開鍵の場所や、エクステンションの名前などのメタ情報は、JSONで定義されたマニフェストで与えることができる。
エクステンションは可能な限り“ウェビーな”(Webby;Webっぽい)技術であるHTMLやJavaScript、CSSを使うものとし、ネイティブコードは最小限にすることをデザインゴールの1つにするという。また、Firefox向けで人気のあるGreasemonkeyのようにレンダリング対象のWebコンテンツ自体を書き換えるもの以外は、Webコンテンツを処理するエンジンとは別プロセスで稼働させるという。これはエクステンションがWebブラウザをクラッシュさせないためで、ユーザー体験を重視するとしたChrome同様に、エクステンションについても“お行儀良く”振る舞うことを要求している。リソースを無駄遣いするようなエクステンションを可視化してユーザーに見えるようにすることや、気にいらないエクステンションの無効化、アンインストールが容易であることも盛り込まれている。
エクステンションの導入や維持(アップデート)がユーザーにとって容易であることも要件に入っている。例えば、インストールは2クリックのみで、インストール後はWebブラウザの再起動やWebページのリロードすら不要なことが望ましいとしている。2度のクリックは、1度目が該当エクステンションのリンクのクリックで、2度目はエクステンションが利用しようとしているAPIのリストを表示し、ユーザーにインストールの許諾を求める画面で押すものだという。
エクステンション用のAPIは徐々に拡張していけるものとし、ツールバー、サイドバー、Greasemonkeyライクなコンテンツ・スクリプト、広告ブロックやペアレンタルコントロールに必要なフィルタリングなどのAPIを提供していく。また、最終的にはChromium自身の大部分を複数のエクステンションとして実装することが可能となるようにしていくという。
iPhoneのApp Storeに相当するAndroid Marketに似た仕組みをChromium向けプラグインで提供する検討もしているようだ。開発者が配布用サーバを用意する手間を省くためのもので、エクステンション開発者は自前のサーバから直接配布しても良いし、グーグルが提供することになるエクステンション提供ホストを使っても良いとしている。この配信プラットフォームでは、ブラックリストを保持するほか、将来的にはユーザー向けに人気の高いエクステンションを表示するようなインターフェイスも提供していく可能性が高いという。
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