既存システムを改変せずにマッシュアップ
業務システムでもスクレイピング活用、富士通
2008/12/10
富士通は12月10日、業務アプリケーションの基盤となるミドルウェア「Interstage」シリーズの1製品、「Interstage Interaction Manager」(IIM)の機能強化を行ったと発表した。IIMは業務向けのC/SシステムをAjax化するフレームワークとして2007年5月に発売した製品。新バージョンのV9.1では、新たにHTMLベースのWebサービスからスクレイピングした情報を、既存の業務アプリケーションとWebブラウザ上でマッシュアップする仕組みなどを提供する。
同社ソフトウェア事業本部 アプリケーションマネジメント・ミドルウェア事業部 第四開発部部長の西尾清氏は「SOAによるシステム構築に必要なことのかなりの部分はフロントで解決できる」という。アンケート調査によればSOA構築の要件は「複数システムを連携するインターフェイスの共通化」「Web業務画面の操作性改善」「既存資産を活用しながらの段階的導入」「バックエンドのビジネスロジックとUIの分離」などで、IIMはこうした課題への1つの解になるという。
IIM V9.1ではAjaxを使い、既存のWebシステムのリッチ化できるだけでなく、出力HTMLから必要な情報を抜き出す、いわゆるスクレイピングを行った上で業務アプリケーションをマッシュアップすることができる。例えば、商品管理システムを参照しながら受発注システムを使うようなケースでは、これまで別画面間で商品コードをコピー&ペーストするような運用があった。IIMではこうした異なる業務アプリケーションに手を加えることなく、1つのWebページ中にマッシュアップするフレームワークを提供する。コピー&ペーストの手間や操作ミスが減るほか、例えば在庫管理システムと連動させることで在庫不足の商品を受注するといった数量ミスも防止できる。
具体的には専用のビジュアルな開発環境でスクレイピングする対象領域を指定し、これをAjaxページエディタで別画面にUI部品として埋め込むという流れになる。マウス操作が中心の直感的な画面設計が可能で、短期間で構築できるという。HTMLから抜き出したデータはJavaScriptで扱いやすいデータ形式に変換されるため、さまざまに応用できる。クロスドメインの制約はサーバ上で稼働するマッシュアッププロキシによって解決。ドメインの異なる社内外のWebサービスをマッシュアップしやすいという。
WebサービスやWebページだけでなく、メインフレームやC/Sシステムといったレガシーシステムにも対応する。具体的には「Interstage Hot Access Service」(IHAS)を利用することでメインフレームの画面情報を変換し、これWebページ上でマッシュアップすることが可能という。
エンタープライズマッシュアップ市場は拡大が予想されているが、個別の業務システムをWebサービス化していく必要があるなどハードルが高い。「われわれは、すでにあるHTMLを自力でマッシュアップして行くアプローチに着目している」(西尾氏)といい、同社は既存資産の有効活用というポイントを訴求していくという。
Interstage Interactin Manager V9.1の動作環境はサーバ側がWindows Server 2008/2003/2000、クライアント側がWindows Vista/XP/2000。Solaris版、Linux版は順次発売。利用にはアプリケーションサーバ、開発には統合開発環境のInterstage Studio V9またはEclipse 3.4.1が必要。販売価格は税別で45万5000円(1ユーザーライセンス)から。
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