月額129ドルから利用可能

“Rails on Amazon”の新サービス、米Engine Yard

2009/01/15

 Ruby on Rails向けのホスティングサービスを提供する米Engine Yardは1月14日、Amazon Web Servicesのクラウドサービスを利用したRails向けスタック「Solo」を1月28日に提供開始すると発表した。

 Engine Yardは2006年創業で、これまで自社が運用するデータセンター内のクラスタ上でRailsやMerbアプリケーションをホスティングするサービスを提供してきた。これまでに約400社の利用実績があるという。ただ、最も安価な構成でも初期設定費用199ドル、1インスタンス当たり月額249ドルのほかデータベース利用に月額699ドルかかるなど高価だった。これに対してSoloでは、処理用サーバとしてAmazon EC2、アプリケーションのディプロイやDBの設置場所にAmazon EBSを使うことで大幅にコストダウン。月額129ドルから利用を開始できるという。これは標準構成のインスタンス、ストレージを使った場合に発生する1時間当たりの利用料0.18ドルの1カ月分に相当するという。

 Soloは、Railsや必要なライブラリを含むGentooベースのLinuxインスタンスを生成し、それをEC2上で起動、運用するまでの流れをWebインターフェイスで手軽にできるサービス。システムの起動状態や負荷、ディスク利用率などを監視する運用時向けのインターフェイスも備える。

 初期設定時には起動するサーバのリソースやファイアウォールを設定するほか、Rails/Merbのバージョン、利用するgemパッケージなどを指定する。このときGentoo Linuxで利用できるパッケージ名も指定することもでき、柔軟な構成でAmazon EC2向けのシステムイメージが生成できる。例えばロードバランサのHAProxyや並列処理向け言語のErlangといったパッケージを入れることができるという。memcacheを含む一般的なパッケージは標準ですべて入っているという。

 オリジナルのGentoo Linuxのパッケージシステムでは、インストール時にソースコードからビルドするが、Engine Yardではあらかじめビルド済みのパッケージをシステムイメージに組み込むようにしているという。いったんAmazon EC2向け起動イメージを生成すれば、繰り返し利用できる。いったん作成したシステムの構成変更用ツールも今後提供予定という。

 現在Soloでサポートしているのは、Rails/Merbだけだが、今後はJRuby/GlassFishといった組み合わせもサポートしていくという。

 Amazon EC2のサーバインスタンスには最低160GBのローカルストレージが利用できるが、これはインスタンスを終了した際に消えてしまう。このため、構築したアプリケーションやデータベース、ログなどはAmazon EBS上に生成して使うようにする。Soloの標準ではデータベース用に5GB、そのほかに5GBが確保され、「/db、/data」にそれぞれ自動的にマウントされる。Amazon EBSのストレージは、任意の時点でAmazon S3に対してスナップショットが保存できるため、バックアップもAmazon Web Servicesで行える。また、Soloで起動するEC2上のインスタンスには、2つまでEBSのディスクボリュームをマウントでき、ストライピング構成にもできる。

 処理用インスタンスと、アプリケーションやデータベースを分けたことで、Amazon EC2のスケーラビリティをそのままSoloでも享受できる。例えば、最もリソースの少ない1時間0.18ドルの最小構成で利用を始め、ユーザー数や負荷が増えるに従って、インスタンスだけをアップグレードするといった使い方もできる。最大構成の1時間1.42ドルの「High CPU XL(64 bit)」は2007年時点の1.0〜1.2GHz Opteron/Xeonプロセッサ相当の処理能力を1単位とすると、その20倍の処理能力と7GBのメモリ、1690GBのストレージが利用できる。

 Engine YardはSoloと同時に新たなクラウド向けのソフトウェア「Vertebra」も発表。LGPL3のライセンスで、オープンソースとして公開している。VertebraはAmazon EC2やVMwareのクラウドサービス「VCloud」など異なるクラウドサービスに対応可能な管理プラットフォームで、セキュリティ、耐障害性、移植性の高さに主眼を置いていて開発しいている。Vertebraはクラウド上で動く複雑なプロセスを管理するためのプラットフォームだと、同社は説明している。

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(@IT 西村賢)

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