日本オラクル、日本HPが協力 「10年に1度の技術革新」

「Oracle Exadata」登場、データウェアハウスを「10倍高速に」

2009/01/20

 2008年に米国で開催された「Oracle OpenWorld」で米オラクルのCEO ラリー・エリソン(Larry Ellison)氏が発表し、話題となった高性能アプライアンス「Oracle Exadata」が1月20日、いよいよ日本でも販売開始となった。

 Oracle Exadataは、データ検索性能を高速化するストレージ「HP Oracle Exadata Storage Server」と、データウェアハウスシステム「HP Oracle Database Machine」で構成される。サーバ/ストレージ間のデータ転送でボトルネックが発生しにくいアーキテクチャを採用し、バッチ処理など時間の掛かる処理を「従来の10倍以上」に高速化するという。

 日本ヒューレット・パッカード 代表取締役 社長執行役員 小出伸一氏を招いての日本オラクルの会見では、冒頭、日本オラクル 代表執行役社長 遠藤隆雄氏が「10年に1度の技術革新」として、Oracle Exadata製品への期待を語った。Oracle Exadataのうち、サーバ「HP Oracle Database Machine」、ストレージ「HP Oracle Exadata Storage Server」をHPが提供。ストレージサーバソフトウェア「Oracle Exadata Storage Server」はオラクルが提供する。

HP Oracle Database Machineを前に握手を交わす小出氏(左)と遠藤氏(右) HP Oracle Database Machineを前に握手を交わす小出氏(左)と遠藤氏(右)
HP Oracle Database Machine HP Oracle Database Machine

 Oracle Exadata Storage Serverは、ストレージ側でクエリに対する検索処理を分散して実行し、結果のみを行・列レベルで返す仕組みを持つ。従来のようにデータブロック全体あるいは表全体をサーバに転送する必要がないため、ストレージ/サーバ間のデータ転送の総量を減らせるほか、接続そのものもInfiniBandで行うため、高速な転送が可能になっている(2本で1台当たり1Gbytes/秒という)。

 これによって、バッチ処理でよくあるソート・マージを大量に実施する処理などが高速に行えるようになる。加えて、データウェアハウス製品では実現が難しかったOLTP処理も「Oracle Database 11g」をベースとするExadataであれば容易に行える。

 また、ストレージ自身が自動管理機構「Automatic Storage Management」を持っていて、データも冗長に保持しているため、障害に対しても強い。加えて、超並列アーキテクチャを採用していて、システム構成のスケールアウトが容易。構成変更に際してアプリケーション側での変更が不要な点も特徴だ。

 ストレージの「HP Oracle Exadata Storage Server」は、2基のIntelクアッドコアプロセッサを搭載し、12基のディスクドライブで総容量12TBytesを収容できる。InfiniBand用の接続スイッチ2基も付属する。「Oracle Enterprise Linux」上に分散クエリ処理ソフトウェア「Oracle Parallel Query Database software」が搭載される。

 また、データウェアハウスシステムの「Oracle Exadata Machine」はOracle Database 11gが稼働するデータベースサーバ8台とOracle Exadata Storage Serverが稼働する14台のストレージにより構成されるラックタイプのサーバ機。

 価格は、HP Oracle Database Machineが7418万4810円、HP Oracle Exadata Storage Serverが273万9135円、Oracle Exadata Storage Serverが114万1350円となっている(いずれも税込み)。一般的なデータウェアハウスアプライアンス製品と異なり、ハードウェア/ソフトウェアごとに価格が設定されているため、データ量が増加した際にはハードウェア側の追加のみで対応できる。

 販売は、既存の日本オラクルパートナー各社だけでなく、今期中に5〜10社程度を目標に広く募る予定。併せてSIer向けのサポート体制も強化する。

 日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏によると、1月20日の販売開始に先立ち、国内数社を対象にベンチマーク検証を実施済みだという。ベンチマーク性能の数値詳細は今後随時公開していく予定としている。

(@IT 原田美穂)

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