Flash PlayerのPalm webOS搭載や電子書籍ビューアSDKも

直接配信版とコンテストでFlash Liteの拡大を図るアドビ

2009/02/17

 米アドビ システムズは2月17日、モバイル端末に直接配信できる機能を備えたFlash Liteの新バージョンとモバイル用電子書籍ビューア作成用のSDKを発表した。また、米Palmが新たにOpen Screen Projectに参加し、「Palm webOS」搭載のスマートフォンでPC用のFlash Playerを使ったコンテンツが利用できるようになると発表した。

Flash Liteの新版は、モバイル端末への直接配信を実現

 モバイル端末に直接配信できる機能を備えたFlash Liteの新バージョンは、正式名「Adobe Flash Lite 3.1 Distributable Player」で、パブリックベータ版として提供が開始され、最初はノキアのS60とWindows Mobileを搭載した携帯端末をサポートする。

 コンテンツプロバイダがFlash Lite Distributable Playerを活用すると、それぞれのWebカタログを介してOSを搭載したさまざまな携帯端末に、Flash Liteアプリケーションを直接配信できる。開発者/コンテンツクリエータも自らの提供手段や既存の配信チャネルを通じてFlash Liteアプリケーションを配信できる。また、Distributable Playerのインストーラによって、Flash Liteアプリケーションを購入しようとしているモバイルユーザーの端末がFlash Liteを搭載しているかどうかを自動的に調べ、搭載していない場合にはインストールするよう促すことができようになるという。

 すでに、AccuweatherやDolce&Gabbana、Digital Chocolate、Disney、Finetune、Gazzetta dello Sport、Hachette Filipacchi、Il Sole 24 Ore、Il Corriere della Sera、Nespresso、Uclickをはじめとするブランドやコンテンツプロバイダーによって利用されている。

 現在、米国や英国、スペイン、イタリア、インドのユーザー向けに無線経由のダウンロードが提供されていて、今後さらに拡大する予定。世界中の開発者は「Adobe Labs」の「Distributable Player Solution」サイトから無償のパブリックベータ版をダウンロードして、開発を開始できる。

 また、アドビ システムズはモバイルアプリケーションの開発を支援する「Flash Lite Developer Challengeコンテスト」を開催する。5月31日まで参加者を募集し、6月17日に受賞者の発表を行う予定だ。最高で1000万ドルの賞金が出るという。詳細は、「Flash Lite Developer Challengeコンテスト」のサイトに記されている。

モバイル用電子書籍ビューア作成用のSDK

 モバイル用電子書籍ビューアのSDKは、正式名「Adobe Reader Mobile 9 SDK」で、従来の「Adobe Reader LE 2.5」の後継となる。モバイルユーザーが携帯端末上でPDFコンテンツや電子書籍を簡単に取得し、管理、閲覧、操作を行えるソフトウェア開発キットだ。スクリーンサイズに合わせて文書をリサイズできるPDFのリフロー技術やコンテンツ保護が可能なPDFのDRM技術、XMLベースの電子書籍の標準であるEPUBファイルフォーマットも採用している。

 Reader Mobile SDKは、携帯端末やスマートフォン向けアプリケーションに組み込まれて提供される。すでに米ソニーの「Reader Digital Book」に組み込まれているほか、BookeenやiRex Technologies、Lexcycle、Plastic Logic、Polymer Vision、Spring Designなどで、2009年中に対応する携帯機器やアプリケーションを発表する計画だ。

Flash PlayerがPalm webOSに搭載

 Open Screen Projectは、PC用のFlash PlayerやAdobe AIRをPC以外の端末でも動かすための取り組みで、これまでもグーグルの携帯端末用プラットフォームAndroidへの搭載がデモされたり(参考:米アドビ、Flash PlayerのAndroid搭載やFlash Catalyst、Wave、Cocomoを発表)、iPhoneへの対応が待たれている(参考:アドビが考えるFlash/AIRの未来とiPhone対応)。OSPにPalmが参加したことによって、さらにその影響力を拡大したといえる。スマートフォン向けのFlash Playerは2009年末までに携帯電話端末メーカーへの提供が開始される予定だという。

 Palm webOSは、先日開催された「International CES(Consumer Electronics Show) 2009」でPalmが発表した携帯端末用の新OSで、Palm製のスマートフォン「Palm Pre」で動作する。iPhone/iPod touchを思わせるタッチパネルのUIを採用し、Webサイト上のアカウント情報などを一元管理できる「Palm Synergy」機能を備える。

 開発者向けには、アプリケーション開発ツール「Palm Mojo Application Framework」と「Palm Mojo SDK」の提供がすでに開始され、開発したアプリケーションは、いわばiPhone/iPod touchの「App Store」のようなPalmのオンライン店舗で公開できるようになる予定だ。Palm webOSのアプリケーションは、HTML+JavaScript/Ajaxを使ったWebアプリケーションだが、これにFlash Playerの技術が加われば、より自由度の高いアプリケーションを開発可能になることが予想される。

(@IT編集部 平田 修)

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