ネットワンとグローバルリレーが説明会

日本と米国で「メールアーカイブ」浸透度に差がある理由は?

2009/02/17

 電子メールが企業に定着するにつれ、各種法規制に対するコンプライアンスの観点から、また訴訟対策として、メールのアーカイブが注目されるようになった。だが、関心はあるものの、何をどの程度保存すればいいのかがよく分からず、様子見という企業も多い。

netone01.jpg ネットワンシステムズ 営業推進グループ セキュリティ事業推進本部 本部長 山崎文明氏

 一方米国では、SOX法やSEC(米証券取引委員会)、FINRA(米金融取引業規制機構)などが定める法的規制によって、電子メールの長期保存(=アーカイブ)が明確に義務付けらている。ネットワンシステムズの営業推進グループ セキュリティ事業推進本部本部長 山崎文明氏は、その理由の1つに「米国の企業には、電子化される前からアーカイブという慣習があった」ことを挙げている。

 米国の企業文化では、会社として正式な文書(Correspondence、通称「コレポン」)をやり取りする際には、従業員個人の判断で出すことはできず、複数の責任者によるレビューが必要という制度になっていた。また発行された文書は、発行日や受領日といった情報とともにファイリングされ、「文書保管庫」で厳格に保管されることになっていた。

 このように紙で実施されていた文書保存のプロセスが、そのまま電子データ/電子メールにも適用されているという。これを明文化したものの一例が、NASD(全米証券業協会)が定めている文書管理ポリシーで、ただ単に文書を保管するだけでなく、「正確なインデックスと共に保存すること」「適切なサンプリングに基づいてレビューを行うこと」などを求めている。

 これに対し日本国内における内部統制報告制度では、メールアーカイブは必須とされていない。それが、国内ではアーカイブが普及していない要因の1つだろうと山崎氏は説明した。

 ただ、日本の企業であっても、米国企業をはじめとする海外取引を行う企業には、同様のアーカイブが求められるだろうし、情報漏洩やさまざまな訴訟に対する証拠を準備するという意味合いからも、保存は重要だ。そもそも、見積書や請求書など企業にとって重要なさまざまな情報が電子メールでやり取りされ、その活動を成り立たせている以上、「これまで以上に電子メールの保存は必須のものになるだろう」と山崎氏は述べている。

SaaS形式で提供するアーカイブ

 ネットワンシステムズでは、カナダのグローバルリレーコミュニケーションズ(Global Relay Communications)と販売代理店契約を結び、SaaS形式の電子データアーカイブサービス「Message Archiver」を提供している。

 このサービスでは、企業が送受信する電子メールデータを、カナダに置かれた2カ所のデータセンターに保存する。データはWORMメディアに書き込まれ、最長7年間保管可能だ。また、Webブラウザから日本語のGUIを通じて、送信者や受信者、期間などの条件を指定して検索を行うことができ、訴訟対応などで緊急に必要になった過去のメールをすばやく探し出すことができる。

netone02.jpg グローバルリレー エグゼクティブバイスプレジデント兼顧問弁護士 シャノン・ロジャース氏

 特徴は、独自の検索エンジンによって、100万件といった大量のデータの中から高速に必要なメールを見つけ出せることだ。また、一般のユーザーと管理者、監査担当などのユーザーグループを分け、目的に応じて機能を制限することができる。管理者だからといって必ずしもすべての機能を利用できるわけではなく、監査担当と互いにチェックし合う体制を作ることが可能だ。

 グローバルリレーのエグゼクティブバイスプレジデント兼顧問弁護士のシャノン・ロジャース氏は、「意思決定の支援や法的文書の送受信、取引先とのやり取りなど、企業における多くの業務が電子メールを介してなされており、これ抜きには考えられない。こうした中、データ保護のソリューションが重要になっている」と述べた。

 ロジャース氏は、電子メッセージは5つの課題を抱えていると指摘。SOX法に加え、FINRAやSEC規則、英国のFSAといったさまざまな法的規制に対する「コンプライアンス」、事前に訴訟に備え企業を守る「e-Discovery」、増え続けるメールデータを長期にわたって保管する「管理およびストレージ」、不測の事態でも重要なデータを失わないようにする「事業継続性とディザスタリカバリ」、レガシーな形式も含めたデータの保管を可能にする「データ移行」であり、同社ではこうした課題を解決するソリューションを、法的アドバイスも含めた形で提供できると述べている。

(@IT 高橋睦美)

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