「他社が10年かかる技術を盛り込んだ」
Oracle Exadataは市場のゲームを変えるか
2009/02/27
日本オラクルは2月26日、国内販売を開始したばかりのデータウェアハウス(DWH)アプライアンス製品群「Oracle Exadata」の技術情報や性能、事例を開発者らに紹介するイベント「Oracle Exadata Summit」を開催した。
日本オラクル 取締役 代表執行役社長 最高経営責任者(CEO) 遠藤隆雄氏は、未曾有の世界的不況を受け、「この変化の激しい不透明な時代を生き残るには、状況を素早く判断し、ダイナミックに対応していく必要がある。Exadataはいままでにないハイスピードなソリューションを提供するツールとなるだろう」と語り、Exadataが企業の生き残りに重要な貢献をすると強調した。
Oracle Exadataの開発責任者である米オラクルのホアン・ルイーザ氏は、Oracle Databaseバージョン6から開発に関わっているコアのエンジニアだ。ルイーザ氏は「Exadataはオラクルにとって、この30年で最も重要なプロダクトとなるだろう」と語った。
同氏は、Exadataは「市場のゲームを変える」と宣言。他社の既存製品と比較するとOracle Exadataがオープンなアーキテクチャを採用していること、すでに十分な機能があり他社製品を凌駕すること、Intelアーキテクチャを採用したことでコスト面でのスケールメリットが得られることなどを説明し、ExadataのDWH市場での優位性を強調した。同氏によると「競合製品が今後10年がかりで実装するテクノロジをすべて盛り込んでいる」のがExadataだという。
また講演では現在「Oracle Enterprise Linux」のみに対応しているストレージサーバの対応OSを、今後ほかのUNIX系OSに広げていくことも明らかにされた。
日本オラクルではすでにOracle Exadataの国内での販売を開始しており、顧客向けに検証ラボも用意している。日本オラクル 常務執行役員 システム事業統括本部長 三澤智光氏によると、すでに国内だけで200件超の問い合わせがあったという。4月22日から開催予定の「Oracle OpenWorld Tokyo 2009」では、実際の国内導入先が披露される可能性もある。
2008年のOracle Open Worldで紹介された事例として、LGR Telecommunicationsの CEO、グラント・ソロモン氏が登壇して評価結果を紹介した。LGRは北米、南アフリカなどを中心に世界各国で事業を展開するDWH/BIシステムプロバイダで、特に通信事業者向けのサービスを得意とする。同社の顧客にはAT&Tなど複数の大手キャリアが含まれる。
LGRでは、通話記録データ(CDR)の分析でExadataを評価したという。同社の従来のCDRデータ分析はOracle Database 10g R2をベースにしたシステムで、1日当たり30億列以上をロード、2500人の同時接続、データ量としては310TB規模のDWHを運用している。このシステムでは、1ユーザーの1カ月の通信記録を取得する処理には15秒程度の時間がかかっていたという。
これだけでもDWHの規模の大きさが分かるが、Exadataを導入することで同じデータクエリが3秒未満で処理できるようになったという。同社では、より詳細に検証するために、半年以上の期間をかけて処理能力を比較、調査し、結果として「従来の20倍のパフォーマンスを得られた」と結論付けている。
Oracle Exadataのデモンストレーション(日本オラクル提供)
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