ユーティリティコンピューティングサービスを国内でも

AT&Tの2009年度戦略は、一貫したインフラ上でアプリに注力

2009/03/17

 AT&T ジャパンは3月17日、世界的なIPインフラ上でのアプリケーションサービスの展開に力を入れるという2009年度のビジネス戦略を発表した。その一環として、2008年にリリース済みのユーティリティコンピューティングサービス「AT&T Synaptic Hosting」を、2009年度中に国内でも展開する計画だ。

 AT&T本社は、固定および携帯の両方で通信サービスを長年にわたって提供してきた。こうしたグローバルに展開しているIPネットワークを通じて、「特に多国籍企業をターゲットに、IPインフラを通じてさまざまなアプリケーションを提供していく」(米AT&T ビジネス・ソリューションズ 広報担当バイス・プレジデントのパット・ストルツ氏)。IPテレフォニーやビデオ、セキュリティやホスティング、さらにはネットワークストレージやコンテンツ配信サービスなどが含まれるという。

att01.jpg AT&T ジャパン 代表取締役社長 岩澤利典氏

 日本では長らく、WAN回線およびコロケーションサービスが事業の中心となっていたが、グローバル戦略に合わせてサービスを拡大。シスコシステムズと共同で開発したテレビ会議システムのマネージドサービス「AT&T Telepresene」、ユニファイドコミュニケーションを組み入れたWeb会議システム「AT&T Connect」といったサービスを投入していく。さらに、シンガポールに設置した「スーパーIDC」をベースに、必要なときに必要なリソースをオンデマンドで提供するユーティリティコンピューティングサービス、AT&T Synaptic Hostingも、MicrosoftやOracleのアプリケーションと組み合わせる形で提供する計画だ。

 同社はまた、国内のパートナーと戦略的業務提携を結ぶ方針も明らかにした。具体的な名称は明らかにされなかったが、日本企業が好むIPテレフォニー端末などを提供するメーカーなどとの提携が考えられるという。

 さらに、一連の戦略に合わせて日本法人の組織を再編。営業とカスタマーサービスというこれまでも存在した2つのチームに加え、ソリューションデザインなどに携わる「Network Integration」チームを発足させ、日本の顧客にノウハウなどを提供していく。

 3月より日本法人の代表取締役社長に就任した岩澤利典氏は、「キーワードはグローバルガバナンス。日本企業にグローバル化の新たな波が押し寄せている。その心は、全体最適とスピードを求めているということ」と述べた。

 高速な通信サービスの上で、複数の事業者が提供するSaaSを組み合わせ、自社に合わせていくというアプローチもある。しかし、「顧客が意識しているのは、全体最適やスピードを速めることであり、(回線もその上のアプリケーションも)まとめて提供してほしいという意見が強い」(岩澤氏)。ベースとなるインフラに一貫性や整合性がなければ、その上にサービスを載せても効率化は図れないと述べた。

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(@IT 高橋睦美)

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