アジア圏での連携、国際展開も視野に

Androidを組み込みで活用、業界団体が発足

2009/03/24

oesf01.jpg OESFの代表理事 三浦雅孝氏(アイ・ピー・ビジョン)

 グーグルが推進するモバイル端末向けソフトウェアスタック「Android」を組み込みシステムで活用することを目指した一般社団法人「Open Embeded Software Foundation」(OESF)が発足し、3月24日に都内で記者会見を開いた。OESFの代表理事を務める三浦雅孝氏(アイ・ピー・ビジョン)は「組み込み業界といっても、1つ1つの分野で見ると産業規模は小さい。各社が独自に2300万行もあるソースコードを見てメンテナンスできるものではない。各業界で協業できるところは協業して産業基盤にしていきたい」と団体発足の狙いを語る。

 OESF発足時点では、以下のワーキンググループが存在し、それぞれ参加企業が共通のAPIを策定し、ライブラリやフレームワークを実装していくほか、Androidの普及に向けたマーケティングや教育なども行っていく。

  • VoIPワーキンググループ
  • STBワーキンググループ
  • Network&Securityワーキンググループ
  • 計測/制御ワーキンググループ
  • System Coreワーキンググループ
  • Application&Serviceワーキンググループ
  • Marketing&Educationワーキンググループ

 現在、組み込みベンダを中心に23社が参加。年内には100社規模となる見込み。台湾支部も同時に発足し、情報交流や共同開発を促進していく。今後は韓国、中国などデバイスベンダが多いアジア圏での連携も強める。三浦氏によれば、グーグルからは、OESFの趣旨には全面的賛意を得ているほか、OHA(Open Handset Alliance)と連携して重複のない開発をすること、家電業界で日本の役割にグーグルが期待していること、日本固有の活動ではなく国際的活動にしてもらいたいことなどのコメントを得ているという。「日本だけでやってもしょうがないから、ガラパゴスにならないでね、と言われている。エンジニアにはコメントを日本語で書かないでというお達しも来ている」(三浦氏)。

oesf02.jpg 現在OESFが対象とする業種・機器
oesf03.jpg OHAとは連携を取ってエコシステムを大きくしていくという

 今後、各種産業・サービス向けに開発したライブラリやフレームワークはAmazon EC2上に用意したソースコード管理のリポジトリに蓄積して、各国に支部ができた場合でもリソースが分散しないように「レポジトリは英語で提供する。共通リソースは国際的に1本化していく」(三浦氏)という。

 三浦氏によれば、標準的な組み込み向けソフトウェアの規模は800万行程度で、開発コスト削減が大きな課題となっている。Androidはグーグルが中心となって推進する携帯電話端末向けのソフトウェアスタックだが、OSだけでなく、Java VM相当のランタイム、Webブラウザのコア、GUIのフレームワーク、アプリケーション間連携フレームワークなどを備えている。「Androidは単にLinux+デバイスドライバというだけではない。高度なUIをXMLだけで切り替えられるなど非常に高度なアーキテクチャを備えていて、今後の開発効率の向上に貢献すると思っている」(三浦氏)。AndroidではJava言語による開発が可能であることから、エンタープライズJava開発者を組み込み開発者に移行させられるメリットも大きいという。

 作成するのは主にJavaライブラリで、例えばGPSのAPIを策定すれば、NTTドコモとauの端末で同じJavaアプリケーションが使えるようになるという。また、IP電話なら通話の「転送機能」、カラオケのリモコンなら「選曲ボタン」など、各業界で共通となるコンポーネントまで含めた形で標準化するケースも出てくる可能性がある。「上から下まで独自で作る必要はない。共通化できるところ共通化して、その上で商品を差別化できる」(三浦氏)。共通API、ライブラリはAndroid同様にApache 2.0ライセンスでの公開を原則とする。「OSSの持つ力は非常に大きい。企業には利害関係はあるが、協力していくことで市場を拡大できる」(三浦氏)。

 リアルタイム処理が求められる計測・制御系ではLinuxカーネルに直接手を入れるようなケースもあり得るという。そうした場合、Androidを管理しているOHA側のコードにもパッチを反映させていくことになるが、それが具体的にOHA側に受け付けられるのか、もし受け付けられるとして、それが標準プロファイル、あるいは産業別プロファイルとして進化・分化していくかなどは、現時点では不明だという。

 OESFに参加している企業は、2009年3月24日現在で以下の通り。

  • アーム株式会社
  • 株式会社アイ・エス・ビー
  • 株式会社IDY
  • アイ・ピー・ビジョン株式会社
  • 株式会社アットマークテクノ
  • 株式会社アドバンスト・コミュニケーションズ
  • アルパイン株式会社
  • イ.ソフト株式会社
  • イノシス・コミュニケーション株式会社
  • 株式会社ウェルビーン
  • ウルシステムズ株式会社
  • 株式会社エム・クーパーズ
  • 沖通信システム株式会社
  • コベンティブ株式会社
  • シップロップ有限責任事業組合
  • 株式会社ソフトフロント
  • 日本ケーブルラボ
  • ハフトテクノロジー株式会社
  • 株式会社富士通ソフトウェアテクノロジーズ
  • プラネックスコミュニケーションズ株式会社
  • Maxxon Solutions Inc.
  • 株式会社来夢多゛
  • 株式会社リファイナー

(@IT 西村賢)

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