RAS機能強化でミッションクリティカル環境を狙う
Mono搭載で.NETアプリ実行も、「SUSE Linux Enterprise 11」
2009/03/27
ノベルは3月27日、Linuxディストリビューションの最新版「SUSE Linux Enterprise 11」をリリースした。ミッションクリティカルなシステム向けに信頼性、可用性、保守性(RAS)関連の機能を強化したほか、マイクロソフトとの協業を踏まえたWindowsとの相互接続性強化などが図られている。
SUSE Linux Enterprise 11は、独自の管理ツール「YaST」を特徴の1つとする企業向けのLinux製品。カーネル2.6.27をベースに、GCC 4.3.2やglibc 2.9のほか、Perl、PHP、Python、Rubyといった主要な開発環境、ApacheやMySQLといったサーバアプリケーションを同梱する。サーバ版とデスクトップ版に加え、目的別に機能を拡張できるオプションが用意されている。
バージョン11では、これまでパフォーマンスが低いといわれてきたパッケージ管理サブシステムを刷新。100倍以上の高速化を図り、パッケージ依存関係の解決や検索、アップデートといった作業を素早く、的確に行えるようにした。これまで数十分から数時間かかっていたアップデートが数分で終了するようになったという。
また仮想化関連では、Xen、VMwareに加え、マイクロソフトのハイパーバイザ、Hyper-Vの3種類をサポートする。特にXenは3.3をサポートすることによって、電源管理機能が強化されたほか、Intel、AMDという異なるアーキテクチャ間でのライブマイグレーションが可能になる。
ほかに、NFS経由のスワップを可能にする「Swap over NFS」によって、SANを構築せずともディスクレスサーバを実現できるようにした。故障しやすいハードディスクに依存しないディスクレスシステムを、低コストで構築できる点がメリットという。
ノベルに関しては、マイクロソフトとの協業が話題を呼んだが、その成果も盛り込まれている。ノベルのパートナー&アライアンス営業統括 統括部長の斉藤雅美氏は、「SUSEはマイクロソフトと本格的な協業をしている唯一のLinux OS。相互にサポートして人、モノ、カネを出し合っており、ほかのディストリビューションとは一線を画している」と述べている。
例えばSUSE Linux Enterprise Desktop 11は、Microsoft SilverlightやWindows Mediaコンテンツの再生が可能な「Moonlight」を搭載する。また、拡張オプションの「SUSE Linux Enterprise Mono Extension」は、大幅に書き換えることなくMicrosoft .NETアプリケーションをLinux上で実行できる「Mono」を搭載。ApacheとMonoの組み合わせにより、ASP.NET 2.0対応アプリケーションを実行できるようにした。
斉藤氏は、商用Linux市場におけるシェアでは、1位のRed Hat Enterprise Linuxとの間が大きく開いているが、伸び率ではSUSEがトップであると指摘。また、ISVによるサポート数はRed Hatを上回っていると述べ、検証環境の提供やポーティングの参考となる情報の提供といった従来からのISVサポート施策に引き続き取り組むとした。
1年間のサブスクリプション価格は、SUSE Linux Enterprise Server 11が4万1880円、SUSE Linux Enterprise Desktop 11が6000円。SUSE Linux Enterprise Mono Extensionは2万4000円、オープンソースのミラーリングソフトウェア「DRBD」などを用いて高可用性クラスタリングを構築できる「SUSE Linux Enterprise High Availability Extension」は8万3880円。
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