プラットフォーム統合でスケールメリット

ヤフーがGyaOを子会社化、Yahoo!動画とGyaO統合へ

2009/04/07

 ヤフーは2009年4月7日、USENの100%子会社で無料動画サービスを展開する株式会社GyaOの株式51%を譲り受け、GyaOを両社の合弁会社とすることを発表した。USENは4月30日にGyaOの4998株をヤフーに対して約5億2980万円で譲渡する。

gyao01.jpg 都内で会見したヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏(左)と、USEN代表取締役社長 宇野康秀氏(右)

 今秋には「Yahoo!動画」(利用者数は約1100万人)と「GyaO」(同約650万人)の両サービスを統合させ、「日本最大級の映像配信プラットフォーム」(ヤフー 代表取締役社長 井上雅博氏)として動画ビジネスを強化していく。ブランド名は未定だが、井上氏は「すでにGyaOは支持されているブランド。個人的には大事にするといいのではないかと思う」としている。

 両社が持つプラットフォームは当面は併存させるが、将来的には今後開発する次期バージョンで発展的な統合を進めていく。「これまで個別に存在していたWebサイト、配信システム、ビジネスモデルを統合することで大きな市場を作っていく」(井上氏)。

 統合の背景について井上氏は「動画投稿サイトには、本来乗るべきではない不正なコンテンツが散見される。われわれは、コンテンツの権利を持っている方々をきちんと尊重する。そうした場を作っていかないと永続的にコンテンツが提供されなくなっていく」と著作権処理をクリアにしたプラットフォーム提供の重要性を強調する。背景には、動画投稿サイトの人気の高まりで、正規コンテンツを扱うコンテンツ事業で十分な収益が上がらないことがある。USEN代表取締役社長の宇野康秀氏は、これまで赤字続きだったGyaOの事業を総括し、「動画投稿サイトなどと比較すると、(著作権処理をしているGyaOなどと)コスト構造の差が出てきてしまう」と話す。市場も未成熟で「広告の商品価値がクライアントに理解されるのに時間がかかったこと」も赤字の原因として苦戦を振り返る。

 井上氏によれば「ヤフーも動画だけに限れば、儲かっているとは言い難い状況」といい、統合によりコストを削減しつつ、正規コンテンツによる健全な収益構造確立を目指す。「権利処理されたサイトに、まだ権利者と視聴者が充分に集まっていない。しかし、インターネットでもビジネスができる場が出てくれば、違法コンテンツを見ることがなくなっていくのではないか」(井上氏)としている。

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(@IT 西村賢)

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