Google App EngineでPythonに続いて第2弾
グーグルのクラウドがJava対応、JRubyも稼働か
2009/04/08
グーグルは4月7日、利用者が作成したアプリケーションをスケーラブルなホスティング環境で稼働させられるクラウド系サービス「Google App Engine」で、新たにJavaをサポート言語に加えたと発表した。現在、早期テスト版として1万ユーザーに限定してSDKを提供している。
提供するJavaランタイムや、そのほかのApp Engine上のサービスはJSRなどの標準に従っているため、Java開発者は違和感なくApp Engineを利用できるという。既存のサーブレット環境からのアプリケーションをApp Engine上に移植するのは容易としている。今回新たにEclipse用プラグインでApp Engineをサポート。GWT(Google Web Toolkit)を使った開発も可能だ。
Java 6対応のサンドボックス化したJVM
Google App Engineはグーグルのクラウド基盤を利用したサービス。処理負荷によって動的に稼働サーバの数を増減させることで、スケーラブルなサービスを設計・配備できる。これまで対応していたPythonおよび、そのWebアプリケーション開発フレームワークの「Django」に加え、ビジネス分野で採用実績の多いJavaを加えたことで、利用シーンが広がりそうだ。
App Engineのインフラ上で動くのはJava 6対応のJVMで、Javaサーブレットインターフェイスや、App Engine上に用意されたデータストレージなどのサービスも利用できる。Java 6以前の環境で作られたほとんどのJavaクラスはほぼそのまま利用可能だが、App Engine上のJVMはサンドボックス環境で動いているため、スレッド生成やローカルのファイルシステムへの書き込み、JNI(Java Native Interface)は利用できないという。
永続ストレージ、メモリキャッシュなども提供
ストレージ系サービスとして「App Engine Datastore」が利用できる。スケーラブルで永続性を持ったデータの保存先で、JDO 2.3(Java Data Objects)またはJPA 1.0(Java Persistence API)から利用できる。グーグルでは、JDO/JPAをサポートしたオープンソース実装「DataNucleus Access Platform」を利用しているという。「App Engine Memcache」はキャッシュ用の分散ストレージを提供する。これはJSR 107で規程されているJCacheを実装したものだという。
このほか、JavaMailインターフェイスを使ったメール送信や、画像処理のためのサービスも利用できる。画像処理は切り抜きや回転、リサイズ、色調整など基本的な操作が可能。JVM上で画像処理を行うこともできるが、App Engineで提供されるサービスを使うことでCPUリソースを節約できるとしている。
また、URLを指定して特定の処理を定期的に行うための「Cron」や、CVSデータをApp Engine上にアップロードする「bulkuploader」なども利用できるほか、アイデンティティ管理や認証にはGoogle Accountsが使える。例えばGmailのアカウントを持っているユーザーであれば、Google Accountsを使ったWebアプリケーションに、すぐにログインできる。
すでにJRubyも稼働!?
JRuby on Rails関連書籍の執筆で知られるThoughtWorksのオラ・ビニ氏は、4月8日付けのブログでJRuby on RailsをGoogle App Engine上で動かすポイントを解説し、「Google App EngineとJRuby on Railsは非常に説得力のあるテクノロジの組み合わせ」だとしている。JVM上では、JRuby以外にもJythonやGroovyといった動的言語、あるいは並列計算処理に向くFortressや関数型言語のScala、Clojureなど多くの言語が動く。こうした言語もGoogle App Engineで利用できる可能性が高い。
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