“モダンな”Perlのノウハウを啓蒙

「Perl技術者の雇用を増やす」、JPAが本格始動

2009/04/08

jpa01.jpg Japan Perl Association 代表理事 牧大輔氏

 一般社団法人Japan Perl Association(JPA)は2009年4月8日、東京・六本木で設立会見を開いた。JPAは2008年12月に設立済みだが、今月から活動を本格化するという。活動内容は、翻訳を含むドキュメントなどのリソースの整備、研修などの教育サービスの提供、Perlコミュニティの会合「YAPC::Asia」などのイベント運営、IPv6やクラウドの応用などPerlで実装する次世代技術研究支援、求人サイト運営の5つ。代表理事 牧大輔氏はJPA設立の目的を「Perl技術者とその雇用を増やす」と説明する。

 JPAにはライブドア、mixi、DeNA、シックス・アパート、Paperboy&co.など18社が加入、計23社が協賛企業として参加している。これら企業の開発現場で培われてきたノウハウを広めていきたいという。

 Perlは、特にWebサービス開発の現場では広く使われてきた歴史のある言語だが、歴史が古い分、誤解も多いという。PerlはCGIと関連付けられて捉えられることが多いほか、比較的自由な書き方が可能であるために可読性やメンテナンスの面で問題があると見られることがある。しかし、「1990年代のPerlを見て語る人が多いが、現場では、はるかに進化したベストプラクティスを使っている」(牧氏)のが現実という。そうしたベストプラクティスは開発者コミュニティで共有されることはあっても、「先頭に立って啓蒙する団体が存在しなかった」(同)ことがJPA設立の背景だという。

 JPA理事に就任したライブドア執行役員CTOの池邉智洋氏は、Perlプログラマに見られるスキルの落差を指摘する。「ほかの言語に比べて応募者のばらつきが大きい。ちょっとPerlが使えるという人と、ビジネスで使えるレベルの人のギャップがある」(池邉氏)。1990年代のCGIのスタイルでPerlを書く人も多く、「われわれが求めるものとズレがあると思っている。このギャップを埋めたい。ビジネスで使える(Perlの)技術を公開していきたい」(池邉氏)という。JavaやCに比べると、「好き勝手に書くとプログラマの質がコードにダイレクトに反映してしまう」(池邉氏)ことから、Perlハッカーたちは業務利用やシステム構築に使えるように“近代的な”使い方を編み出してきた。Perl技術者たちが「モダンPerl」と呼ぶこうしたベストプラクティスは、これまでコミュニティ外部に広く啓蒙・マーケティングされることがなかった。JPAでは、こうしたハッカーコミュニティで培ってきた技術やノウハウを企業ユーザーに提供していく、という。

jpa02.jpg JPA理事、参加企業の代表ら

現場で広く使われているPerlは「終わってない」

 RubyやPython、PHPといった言語が注目を集める一方、Perlに光が当たることは比較的少ない。そのため、もうPerlは終わった言語と考える人もいて、ネット上で議論を呼ぶことがある。こうした認識に対して、代表理事の牧氏は、Perl自体やライブラリの開発が活発に続いていること、JPAに参加するmixi、ライブドア、DeNAの3社だけでも月間360億PVのトラフィックをさばく負荷への強さがあることなどを指摘する。また、「ないものを見つけるのが大変」(DeNA モバイルポータル部システム第1グループ、JPA理事の山口徹氏)というライブラリサイト「CPAN」の充実度と使いやすさや、「良くも悪くも後方互換性が取れていて、急に挙動が変わらない。安定性の高さは企業ユーザーには安心」(池邉氏)など、開発現場のニーズに応える高いポテンシャルがあるという。

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(@IT 西村賢)

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