正式サービスは10月以降に

上下20Mbpsの高速通信、ウィルコムがエリア限定で開始へ

2009/04/22

xgp01.jpg 「お待たせしました」と計画を発表するウィルコム 代表取締役社長の喜久川政樹氏

 ウィルコムは高速モバイルデータ通信サービス「WILLCOM CORE XGP」のエリア限定サービスを4月27日に開始する。まず東京都の山手線内の一部地域でスタートし、共同実験パートナーへ専用通信通信カードの無償貸し出しを行う。第2段階として6月以降にはエリアを拡大。法人で500ユーザーを対象にモニターサービスを行う。一般個人はモニターに参加はできず、10月以降の正式サービス開始を待つことになる。

 利用料金は「現在検討中。高くはしない。できれば定額制も導入したい」(ウィルコム)としているほか、正式サービス後のエリア拡大予定などは「非公開」(同)と、まだサービスの全体が見えづらい。

 XGP端末は、WiMAXチップセットを提供するカナダのWavesat、イスラエルのAltairtの製品を使い、2種類のPCカードを用意した。XGPはモバイルWiMAXと利用周波数帯域、変調方式が似ているため、「ソフトウェアを変更して使っている」(ウィルコム)。

device.jpg 2種類用意したPCカード型のXGP端末は、いずれもWiMAXのチップセットをベースにソフトウェアを開発したという
map.jpg 予定しているサービス対象エリア。赤が第1段階、青が第2段階
ap.jpg 東京駅近辺の基地局のXGP対応状況。大きめの青い丸がXGP基地局。黄色は現行基地局で光IP化済みのもの。赤はそれ以外の現行基地局
service.jpg サービスの詳細

 XGPの通信速度は理論値で最大20Mbps。一般的なブロードバンド回線や3G通信方式が上下非対称なものと異なり、上下とも20Mbpsの高速通信が特徴。動画のアップロードやテレビ局による放送インフラとしての活用などの市場にも期待しているという。実際、すでに技術実験や協議を始めているMVNOの80社の中にはフジテレビが入っており、HD対応の報道取材ネットワーク実験を予定しているという。

 記者会見会場では、放送業務で使われている機材を使い、実際にXGPを使った“中継”を実演。エンコーディングの遅延を除けば、非常にスムーズに映像が伝送できている模様を実演してみせた。デモンストレーションのシステムではビル内にXGP対応基地局を設置。光ファイバでNTT局舎に接続するシステムだったが、下りで18Mbps、上りで12Mbps前後が出ていた。上り速度については「まだチューニング中」という。

 XGPの優位性について、ウィルコム代表取締役社長の喜久川政樹氏は「PHSを踏襲していて、スピードが落ちにくい真のブロードバンド」と、マイクロセル方式の特徴を指摘。「今後期待されるモバイルのブロードバンドでは1人当たり月に10GBの通信量になる。これはケータイの1000倍。われわれはこれに対する回答を持っている」と自信を見せた。

(@IT 西村賢)

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