2012年に事業規模倍増を目指す
日本法人社長が語るネットアップの強さと弱さ
2009/06/15
ネットアップは6月12日、1月1日付けで日本法人の代表取締役社長に就任したタイ・マッコーニー(Ty McConney)氏が、今後の事業戦略を説明した。
2008年度のネットアップは、不況にもかかわらず全世界における売り上げを3%伸ばした。日本ではファイバチャネルSAN、iSCSIで大型案件を獲得。日本IBM向けのOEMビジネスが100%成長し、コンサルティング事業は24%以上成長したという。

ネットアップはNAS(Network Attached Storage)ベンダとして発足した企業だが、現在ではファイバチャネル接続、iSCSI接続も提供。2008年には他社に先駆け、新たなストレージ接続技術として注目されるFCoE(Fibre Channel over Ethernet)への対応も行った。すなわちネットワーク・ストレージの主要接続技術はすべてカバーしていることになる。
ネットアップが自社の特徴としているのは、全機種で「Data ONTAP」という共通のストレージOSを提供し、この上でスナップショットやクローン、シン・プロビジョニングなどの機能を提供していること。あらゆる機種で共通の管理体系のもとで、同一の機能を適用できる。
マッコーニー氏は、ネットアップの世界的な強みとして、ほかにも企業文化や強力な経営陣のリーダーシップ、市場機会に対する製品の的確な位置付けなどを挙げた。一方で、市場における認知度、製品開発スピード、既存顧客に対するビジネス開発の不足などが課題になっていると話した。
日本では、富士通や日本IBMに対するOEM供給も貢献し、NAS市場では60%弱という圧倒的なマーケットシェアを獲得している。しかし、ファイバチャネルSAN接続ストレージ市場では1%に満たない。iSCSIでは国内ナンバーワンだった時期もあるが、最近ではイコールロジックを買収したデルにその座を奪われている。
そこでネットアップが日本市場における目標として掲げるのが、NAS市場でのナンバーワンの地位を堅持しながら、2012年にはiSCSIでトップシェアを奪還し、ファイバチャネル・ストレージのシェアも向上させ、事業規模を2倍にすること。
マッコーニー氏は、ファイバチャネル・ストレージについて「富士通などにもっとネットアップを売ってもらうように働きかけている」と話す。富士通はNASではネットアップ製品のOEM供給を受けているものの、ファイバチャネル・ストレージは自社の製品を販売している。しかし、富士通の製品でカバーしきれないファイバストレージ・ニーズに、ネットアップ製品を適用してほしいという。
ストレージ仮想化製品の「Vシリーズ」も、ファイバチャネル市場獲得に活用する。Vシリーズは日立、IBM、EMC、ヒューレット・パッカードなどのストレージの前段に配置し、異機種混合環境でもネットアップ製品と同様に管理できるようにする製品。スナップショットやクローン機能など、Data ONTAPに共通の機能をVシリーズで経験したユーザーが、同社のファイバチャネル・ストレージを購入することを目指す。
iSCSI市場ではミッドレンジ市場のみをターゲットとする旧イコールロジック製品に対し、ネットアップではハイエンド市場も含めて単一のアーキテクチャで提供できることを生かし、大規模案件を獲得していきたいという。
また、NASのデータベースへの適用なども、継続的に働きかけていくという。
究極的にはすべての市場と接続技術を、単一の管理体系のもとでカバーするネットアップの特徴を生かし、クラウド時代に選ばれるストレージベンダになることが目標としている。
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