ブラウザがWebサーバ機能を搭載

Webブラウザ間で通信、「Opera Unite」発表

2009/06/17

 ノルウェーのOpera Softwareは6月16日、WebブラウザにHTTPサーバ機能を持たせた新技術「Opera Unite」を発表した。次期バージョンのOpera 10上で動作するテクニカルプレビュー版をWindows、Mac OS X、Linux向けとして公開している。

 利用者はWebブラウザを使ってローカルのファイルをほかのユーザーと共有したり、伝言板のようなWebアプリケーションを手元のPC上で稼働するWebブラウザ内で走らせることができる。Operaでは、応用例のサンプルとして、ファイル共有、Webサーバ、メディアプレイヤー、写真アルバム共有、チャットサービス、メモ伝言板を公開している。

opera01.png Opera Uniteを搭載したOperaを使って、ローカルPCのフォルダを写真共有サービスとして公開
opera02.png 設定したWebサーバは、ほかのPCから閲覧するとサービス別にメニューとなって現れる
opera03.png ウィジェットはWebサービス(HTML、CSS、JavaScript)で提供できるため、この画面のような写真アルバム共有サービスも簡単に作成できるという

 利用にはまずOperaが運用するWebサービス(my.opera.com)のアカウントを取得する。これは、これまでオンラインブックマーク同期機能などを利用するために提供されていたものと同じ。次に、Opera Unite機能を組み込んだOperaを起動して、ウィジェットを追加・起動する。例えば写真共有ウィジェットを起動して、任意のローカルのフォルダを指定すると、このフォルダは「http://work.knsmr.operaunite.com/photo_sharing/」という一意なURLが与えられて、ほかのPCのWebブラウザから見えるようになる。リソースを公開する側のPCはファイアウォールの中でも構わず、Opera Uniteのプロキシ経由でアクセスが可能。公開した写真などは、デフォルトではパスワード付きの限定公開となっているが、一般公開や自分だけが見える設定なども可能だ。

 Opera Unite向けウィジェットは、これまでOperaが提供していたウィジェットの仕組みを応用したもの。ウィジェット本体は、アプリケーション情報を記述したXMLのメタファイル、アプリケーション本体であるHTML、JavaScript、CSSをzipアーカイブしたものからなる(拡張子はus)。JavaScriptからは、HTTPリクエストに応答するWebサーバオブジェクトなどが利用できる。また、AjaxやHTML 5(CanvasやSVG、ローカルストレージ)も利用できる(Opera UniteのAPI)。Operaは例としてWebブラウザから記事の投稿や閲覧ができるブログサービスの例を挙げている。Opera固有のファイルI/OのAPIなども利用できるが、Opera Uniteについて同社は、ほかのWebブラウザとの互換性を考慮すべき、としている。

 作成したウィジェットは、Opera UniteのWebページに登録して、ほかの利用者に対して公開できる。これはiPhoneやAndroidのマーケットと同様に機能し、Operaでは最低限の動作確認だけを行うとしている。

 Opera Uniteでユーザーのリソースを共有すれば、一般のWebサービス(クラウドサービス)に相当することが個人でも可能となる。この意味ではOpera Uniteはホームサーバ的にも使える。ただ、リソースを公開しているWebブラウザやPC自体を終了すると、サービス提供は途切れるため、どうのような用途に利用できる技術なのか、今後も見きわめが必要と言えそうだ。一方、HTML 5コミュニティでは現在、JavaScript(Webブラウザ)を使ってP2P通信(ポートのListen)を行えるAPIを標準化しようという声もあり、今回のOpera Uniteは、そうした声を限定的な形で実装した実験と見ることができそうだ。

関連リンク

(@IT 西村賢)

情報をお寄せください:

HTML5 + UX フォーラム 新着記事
@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)

キャリアアップ

- PR -

注目のテーマ

ソリューションFLASH

「ITmedia マーケティング」新着記事

米司法省がGoogleに「Chrome」売却要求 広告業界への影響は?
米司法省によるGoogleへのChrome売却要求は、リテールメディアネットワークに恩恵を与え...

トランプ氏勝利で追い風 ところでTwitter買収時のマスク氏の計画はどこへ?――2025年のSNS大予測(X編)
2024年の米大統領選挙は共和党のドナルド・トランプ氏の勝利に終わった。トランプ氏を支...

AI導入の効果は効率化だけじゃない もう一つの大事な視点とは?
生成AIの導入で期待できる効果は効率化だけではありません。マーケティング革新を実現す...