与謝野大臣に中間報告を答申
国際会計基準のロードマップが本決まり、企業会計審議会総会が開催
2009/06/30
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金融庁の企業会計審議会は6月30日、総会を開催し、6月16日に公表した「我が国における国際会計基準の取扱いに関する意見書(中間報告)」を承認した。その後、中間報告書は与謝野馨・内閣府特命担当大臣(金融)に答申した。
中間報告は6月16日公表の中間報告案と同じ内容(参考記事)。2010年3月期から国際会計基準(国際財務報告基準、IFRS)の「任意適用を認めることが適当である」としている。総会で説明した金融庁の総務企画局 企業開示課長 三井秀範氏は、任意適用できる企業について、これまで日本基準で継続的に適正な財務諸表を作成・開示している上場企業であり、IFRSによる財務報告について適切な体制を整備していることが、「本質的には最も重要」と話した。
加えて総会では資料として「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の未定稿が配布された(PDF)。この資料は6月11日の企業会計審議会 企画調整部会でも配布されたが、任意適用を認める条件の1つとして「外国に資本金20億円以上の連結子会社を有すること」が挙げられた。6月11日に配布された資料では「○億円以上」になっていて数値を確定していなかった。総会で示されたこの数値は、「会社、その親会社またはその他の関係会社」が満たすべき条件の1つで、ほかの2つの条件と合わせて「いずれかを満たすこと」としている。
ほかの条件は「外国の法令に基づき、国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する書類を開示していること」と、「外国金融商品市場の規則に基づき、国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する書類を開示していること」。海外の市場に上場し、IFRSで財務報告を行っている企業であれば、この2つの条件を満たしていると考えられる。「外国に資本金20億円以上の連結子会社を有すること」の条件は自社、もしくは関係会社が海外市場に上場していなく、海外でIFRSベースの財務報告も行っていない場合の選択肢になると見られる。
強制適用については6月16日公表の中間報告案と同じ。2012年に判断し、強制適用する場合は2015年または2016年に適用開始するとしている。三井氏は「一斉適用か段階適用かは議論になった。中間報告の段階ではどちらとは決めていない。両方を視野に置いている」と話した。
中間報告の答申を受けた与謝野氏は「透明性の高い企業情報の開示を確保する観点から国際的な動向も踏まえつつ、不断に見直しを行っていくことが必要。今般、企業会計審議会で我が国における国際会計基準の普及に向けたロードマップともいうべき中間報告をとりまとめていただいた。政府としては、とりまとめていただいた事項について円滑な実施に取り組みたいと考えている」と述べた。