ブログを超えて汎用コンテンツ管理ツールへ

CMSツールとして進化、MovableType新版は今秋登場

2009/07/08

　シックス・アパートは7月8日、Webサイト管理ソフトの最新版「Movable Type 5」を発表した。8月上旬にベータ版を公開し、10月に製品版を出荷する。Movable Typeはブログ向けツールとしてスタートしたが、現在ではブログにとどまらず、企業ユーザーなどが汎用的なWebサイトでのコンテンツ管理システム（CMS）として利用するケースが増えているという。こうしたことから、新バージョンではCMSとしての機能を強化している。

　1つは“ウェブサイト”と呼ぶ管理概念を導入したこと。典型的にはドメイン名やパス付きのドメイン名といったURLが対応する。“ウェブサイト”配下の複数ブログをまとめて管理したり、テンプレートやカテゴリーを共有することで企業ユーザーのニーズに応える。“ウェブサイト”にはブログを作成しなくても、ディレクトリやHTMLファイルを作成して直接Webページを作成できるなど、より汎用CMSに近づいた。

Movable Type 5ではブログを作成しなくても、ディレクトリやHTMLファイルを作って直接Webページを作成できるなど、より汎用CMSに近づいた

　“テーマ”と呼ぶ”ウェブサイト”のスケルトンを用意して、デザインテンプレートを適用するのと似た手法で、Webサイトのカスタマイズが可能となった。写真を多く公開するWebサイトであれば、フォトアルバム向けのテーマを適用することで、投稿画面の入力フィールドはコンテンツ表示がフォトアルバムに適したものとなる。同様にレストラン情報や製品カタログを扱うテーマもあるという。従来、外観以上のカスタマイズは、プラグインの追加や独自タグを使って手書きで行う必要があった。目的に合ったテーマを適用し、Movable Type 5で導入された記事インポート機能を併用することで、目的別Webサイトの立ち上げと情報更新が素早く行えるようになるという。

シックス・アパート日本法人代表取締役関信浩氏

　シックス・アパート日本法人代表取締役、関信浩氏は「日本法人を立ち上げ、ブログ専業として約6年。当初は日記のようなものと認識されていたが、最近はビジネスでブログを使うケースも多く、Webサイトの構築・運用ツールになってきているのではないか」と新バージョンで取ったCMS機能強化の背景を語る。

　このほか企業ユーザーから見た場合、Movable Type 5にはCMS管理ツールとして使い勝手を良くする改善が2つある。

　1つはライセンス体系の整理。コンテンツの更新に携わるスタッフの数を見積もることの難しさから、従来の人数ベースのライセンス追加は不便だった。このため、Movable Type 5では1サーバ・5ユーザーまでの基本ライセンス（税別6万円）、1サーバ・無制限ユーザー（税別12万円）の2種類へとシンプルにした。

　企業ユーザーから要望が多かったのが更新履歴の保存機能という。ブログ記事だけでなく、Webページ、テンプレートの編集履歴を管理・保存し、過去のバージョンに戻せる機能も追加した。誰が、いつ、何を変更したか分かりやすくなったことで、複数メンバーによるコンテンツ更新がやりやすくなったという。

　TwitterやTumblrなどリアルタイム性が高いソーシャルメディアで企業が出す情報が伝達されるケースが増えている。一方、ブログのような“着地先”がないと、こうした情報流通の新しい潮流に対応するのは難しい。こうした背景から、関氏は今後も企業ユーザーのブログ構築、運用のニーズは高まると見ているという。関氏は「Movable Type 4に比べて販路もユーザー数も増えると考えている。現在パートナー数は400だが、1年後には50％ほど増えると見ていて、それに伴って製品出荷本数も増えていけば」と話している。