イージェネラのI/O仮想化技術を採用
デルがPAN Systemを国内投入、データセンター全体の統合管理を
2009/07/13
デルは7月13日、I/O仮想化を特徴とするサーバ・ソリューション「Dell PAN System」の販売開始を発表した。これは米イージェネラのx86サーバ・ソリューション「BladeFrame」を支えるI/O仮想化ソフトウェア「PAN Manager」のOEM提供を受け、デルのサーバ・ハードウェアと組み合わせてソリューションとして提供するもの。デルはPAN Systemで、物理サーバ環境と仮想サーバ環境を同列で統合管理でき、運用コストを大幅に低減できることをアピールしていく。
イージェネラのPAN Managerは、サーバの各ブレードに対し、ネットワーク接続やSAN接続を、管理ソフトウェア上で論理的にひも付けることができる。従って、すべてのブレードをSANブート構成にしておけば、あるブレードに障害が発生しても、障害ブレードのネットワーク接続やストレージ接続をほかのブレードに引き継がせることで、フェイルオーバが実現できる。ブレード上にハイパーバイザを導入し、この上に仮想マシンを動かしている場合も、各仮想マシンのネットワーク接続とSAN接続を論理的に管理できる。
PAN Managerでは、アプリケーションやOSにかかわらず物理/仮想環境のフェイルオーバや計画メンテナンスが実現できる。また、この仕組みを活用し、2つのデータセンターのストレージ間でデータ複製(レプリケーション)を行うことで、ディザスタリカバリ(災害復旧)を比較的安価に実現できる。
デル 執行役員 システムズ・ソリューションズ統括本部 アドバンスド・ソリューションズ統括本部長 町田栄作氏は、Dell PAN Systemを投入する理由を、「(デルは)仮想化対応を進め、Simplify ITを推進してきた。しかしそれだけでは、お客様のTCOや運用の問題を解決しきれない。その意味では、物理もハイパーバイザ環境も、データセンター内をトータルで仮想化できることのメリットは大きい」と説明した。
イージェネラは従来、自社のx86サーバ・ハードウェア「BladeFrame」の付加価値としてPAN ManagerのI/O仮想化機能を位置付けてきた。
BladeFrameは、金融機関などのユーザー企業におけるミッションクリティカル系システムを中心に導入実績がある。だが、イージェネラ 執行役員 マーケティング本部長の保阪武男氏は、BladeFrameは拡張性に優れるものの、「(ユーザー企業から)高いといわれる」と話す。予算的に折り合いがつかず、他社の一般的なx86サーバが選ばれてしまうケースも多いという。
そこで2007年に同社はPAN ManagerのOEM提供開始を発表。米国ではデルが2008年12月にDell PAN Systemの第1弾製品を発表した。保阪氏は、「コストの安いサーバを併用しながら、BladeFrameとの一元管理も可能」と説明した。現在のPAN Managerは、基本的にサーバシステム単位で論理的なI/O管理を実現しているが、2010年以降、同一データセンター内の複数サーバシステムにまたがった一元管理を実現するという。
デルは国内のミッドレンジ市場を開拓することで、イージェネラのBladeFrameと棲み分ける。デルはPAN Managerを導入済みの形で提供。「Dell|EMC」などのストレージ製品と組み合わせた一括保守が可能などのメリットを押し出す。イージェネラの販売パートナーとの協業も進める。
「米国ではDell PAN Systemを1年以上前に発表しているが、日本では深く静かにエンドユーザーに働きかけ、事例を蓄積していく」と町田氏は話した。
メディア向け説明会では、Dell PAN Systemの国内ユーザー第1号となったパナソニック電工インフォメーションシステムズ 執行役員 田中啓介氏が同社の経験を紹介。パナソニック電工ISは親会社であるパナソニック電工の業務システムを中心に、すでにBladeFrameで400台以上のサーバを稼働しているが、管理者は3人で済んでいるという。Dell PAN Systemについても、汎用サーバを使ってこれまでと同様なメリットが得られるとして注目。4カ月にわたって約200項目の検証を実施した。6月8日にDell PAN System上での最初のアプリケーションとして、パナソニック電工のスケジュール管理システムを稼働開始した。今後はユーザーとしてのノウハウを生かし、一般企業向けにインフラ構築支援ビジネスを展開していくという。同社のデータセンターを使ったサービスも検討中だ。
Dell PAN Systemの価格は、Dell PowerEdge M610×4、Dell PowerEdge 2950 III×2、PAN Managerソフトウェア群、保守5年の構成で1100万円からとなっている。
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