ITサービス申請プロセスを自動化
企業内クラウド環境をターンキーで、日本IBM
2009/07/15
日本IBMは7月15日、企業内クラウド環境構築に必要なハードウェアとソフトウェアを事前に設定して納入する「IBM CloudBurst V1.1」を8月18日に出荷開始すると発表した。
これはサーバ仮想化環境のターンキー・ソリューション。サーバ、ストレージ、ラックといったハードウェアに、ハイパーバイザや「IBM Tivoli Provisioning Manager」「IBM Tivoli Monitoring」「IBM Systems Director」「IBM DS Storage Manager」などの管理ソフトウェアを導入・構成済みの形で提供する。さらに、「クイックスタート・サービス」として顧客環境における設定や管理者のトレーニングも組み合わせている。これにより、納入後5日間で、トレーニングも含めてユーザー企業における準備が終了し、運用を開始できるという。
IBM CloudBurstは、もともと米IBMの研究開発担当部署で使われてきたシステムを製品化したもの。「顧客にクラウド環境をデモすると、『これをそのまま欲しい』と言われる」(日本IBMの専務執行役員 ソフトウェア事業担当 三浦浩氏)。企業内クラウド環境をすぐに利用したい、どこから始めればいいか分からない、設計・構築のノウハウがないといったユーザー企業のニーズに応えるための製品という。
サーバ仮想化に必要な製品群をパッケージ化したターンキー・ソリューションを提供する動きは他社にも見られる。CloudBurstで最も特徴的なのは、Tivoliの管理製品によるセルフサービス・ポータルまでを組み合わせていること。これにより、企業のユーザー部門は、Amazon EC2などのサービスを使うのと同じように、Webブラウザで「サービスカタログ」からOSを選択し、 CPU数やメモリのサイズを選ぶことによって、即座に仮想マシンを作成して仮想化環境を利用開始できる。標準構成ではSUSE Enterprise Linuxを選択することしかできない。しかし、ほかのOSを使った仮想マシンや、アプリケーションを導入済みの仮想マシンをサービスカタログに追加することもできる。
仮想化ソフトウェアについては、標準構成ではVMware ESXi 3.5とVirtualCenter 2.5を採用している。しかし、Hyper-Vなどほかのハイパーバイザと組み合わせて提供することも可能という。
日本IBM執行役員 未来価値創造事業担当 岩野和生氏は、企業は今後社外のクラウドサービスや業界クラウドの利用を進めるとともに、差別化の源泉となるシステムについては企業内クラウドをますます利用していくことになるだろうと話した。クラウドコンピューティングは、仮想化に加えて、標準化と自動化という要素を実現することができ、これがコスト削減とともに利便性を向上し、効率的なITを可能にするという。CloudBurstではサービスカタログによって企業内のITサービスを標準化し、さらにサービスの申請から提供までを自動化することで、利用の迅速化や省力化を図ることができるとしている。
日本IBMは、6月18日に「IBM WebSphere CloudBurst」というWebSphereの仮想化インスタンスを配備するアプライアンス製品を発表している。今後もCloudBurstの製品名でアプリケーションやITシステムの企業内クラウド環境への導入・配備を自動化する製品を発表していくという。一方で、テスト/開発環境やビジネス情報分析、ストレージなどのクラウドサービスを投入していく予定という。
CloudBurstの価格は2448万7500円。2009年中に15社からの受注を目指す。
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