性能管理ツールも近く出荷開始へ

ヴイエムウェア、コスト配賦など管理ツール3種を発表

2009/07/16

 ヴイエムウェアは7月14日、サーバ仮想化環境のコスト配賦およびパフォーマンス管理をそれぞれ実現する新製品、そしてテスト・開発支援製品の最新版を発表した。

 コスト配賦を実現するのは「VMware vCenter Chargeback 1.0」。ユーザー部門それぞれにおける仮想化リソースの利用量を把握し、必要な場合にはこれを反映したコスト算出が行える。

vmware01.jpg Chargebackの機能

 Chargebackでは複数のVMware ESX、複数のvCenterの配下にある仮想マシン1つ1つをさまざまな階層の部署と関連付けることが可能。これによって、各部署が仮想マシンをどれだけ利用しているかを可視化でき、これに単位コストを乗ずることで、各部署に配賦するコストをはじき出せる。全社が利用する電子メールサーバなど、単一の仮想マシンのコストを複数部門で共同負担するパターンも計算に組み入れることができる。コスト算出モデルは基本的には3つある。

1. 利用する仮想マシンの数に単純比例したコスト

2. 各仮想マシンに割り当てるリソース(仮想CPU数、メモリ量、ネットワーク帯域など)に基づくコスト

3. 各仮想マシンが実際に利用したリソースに基づくコスト

 これら3つを組み合わせることもできる。

 レポートは、Webで表示したり、定期的にPDF形式でメール送信したりすることができる。

 Chargebackは発表と同時に出荷が開始された。価格は、この製品を稼働するサーバのCPU1ソケット当たり9万3000円。

 パフォーマンス管理を実現するのは「VMware vCenter AppSpeed 1.0」。

 AppSpeedはネットワーク上のアプリケーションを、相互の依存関係を含めて自動的に検出し、それぞれのパフォーマンスやレスポンスを計測し、改善のための対策を助言あるいは自動実行できるツール。データベースに関しては、トランザクションやクエリのレベルで分析が可能。これにより、例えば3階層アプリケーションにおいて、Webサーバ、アプリケーションサーバ、データベースのいずれがボトルネックになっているのか、あるいはネットワーク、OS/ハイパーバイザ、アプリケーションのいずれに問題があるのかを分析できる。

vmware02.jpg AppSpeedの概要

 レスポンス低下の対策として、仮想マシンの設定を自動的に調整することも可能。Webサーバなどに関しては、将来、自動的に新たな仮想マシンを起動して処理能力を向上するなどの対策も実現できるようになる。

 AppSpeedは、米国では発表と同時に出荷開始されたが、国内ではダブルバイト対応の検証後に提供する。価格は未定。

ヴイエムウェア ストラテジック アライアンスマネージャの名倉丈雄氏によると、これらの製品は、同社の仮想化管理ツール群「vCenter」が目指す100%仮想化の世界に向けたロードマップの、第2段階に位置するものという。

 同ロードマップの第1段階は仮想マシン100台未満の環境における、ハイパーバイザと仮想マシンの管理。P2V(物理から仮想)の移行ツール、インベントリ管理、パッチ適用などを含む。第2段階は仮想マシン100〜1000台の導入環境を中心とした管理課題の解決で、パフォーマンス管理、キャパシティプランニング、構成管理、運用管理がメインとなる。第3段階は仮想マシン1000台以上の環境における、企業内クラウド全体のサービスレベル管理で、セルフサービスITやサービス管理、ポリシーベースの自動化を意味する。

 ヴイエムウェアは、企業アプリケーションの開発・テストを支援する「VMware vCenter Lab Manager」の最新版、「VMware vCenter Lab Manager 4.0」も発表した。これは複数の仮想マシンを共有ライブラリとして設定し、複数の部門にまたがる関係者からのアクセスを制御できる製品。新バージョンでは「VMware vCenter Stage Manager」という別製品で提供されていた機能を統合し、開発、テスト、ステージング、本稼働後のサポート、トレーニングまでの各段階をコントロールできる。

 ネットワークフェンシング機能も強化。ネットワークフェンシングとは、同じIPアドレスやMACアドレスを設定した複数の仮想マシンを同時に稼働できる機能。最新版では、この機能が複数のESX、つまり複数の物理サーバにまたがって適用できるようになった。

 新バージョンではまた、VMware vSphere 4とVMware ESXiを新たにサポートした。

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(@IT 三木泉)

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