独自OSリリースの狙いは

グーグルのシュミットCEO、「Chrome OS」収益化を語る

2009/07/21

 ネットブック用として開発中のLinuxベースのプラットフォームであるグーグルの「Chrome OS」は、2010年にオープンソースライセンスの下でリリースされる予定だが、グーグルのエリック・シュミットCEOは、同OSで金もうけをする算段を練っているようだ。

 7月16日に行われたグーグルの4〜6月期収支報告の電話会見で、シュミット氏は「このOSはオープンソースであり、これを有料で提供する予定はない。そこから収益を得る手段はほかにもある」とアナリストらに語った。

 グーグルの4〜6月期の利益は前年同期と比べて19%増加した。

 シュミット氏は、グーグルがChrome OSで収益を上げる具体的な方法を決定したわけではないとしながらも、広告を基盤とするサービスと会員方式のマイクロペイメントという2つの選択肢を検討していることを示唆した。グーグルは現在、その年間売上高200億ドルの大部分を検索広告に依存している。

 さらに同氏によると、収益化の手段の1つとして、アプリケーション内で広告を配信する実験も社内で行っているという。しかし同氏は、これらのコメントを特にChrome OSと関連付けはせず、「広告をベースとするソフトウェアサービスやマイクロペイメントのためのインフラはまだ構築していない」と付け加えた。

 アナリストとシュミット氏との間の丁々発止のやり取りは、グーグルウォッチャーたちがChrome OSに非常に強い関心を抱いていることを示すものだ。グーグルは7月7日、マイクロソフトのWindowsや、アップルおよびLinuxディストリビューター各社のプラットフォームに代わる軽量・高速なプラットフォームとなるChrome OSの計画を発表した。

 グーグルは現在、足下の検索エンジン市場でプレッシャーを感じている。マイクロソフトの「Bing」製品は、グーグルの検索エンジンと比較するために試している多くの人々から好意的な評価を得ている。

 電話会見では、グーグルがどんな方法でChrome OSを配布し、それを収益化するのかという質問がアナリストから矢継ぎ早に浴びせられたことで、普段は冷静なシュミット氏も最後にはいらだちを示した。「独立系ソフトウェアベンダがChrome OS向けにアプリケーションを開発する一方で、グーグルは著作権使用料を柱としたビジネスモデルを構築する計画なのか」という質問に対して、シュミット氏は「質問が具体的過ぎる。そういったことはまだ分からない」と無愛想に答えた。

 「当社のプラットフォーム戦略が成功し、多数のChrome OSユーザーが存在するという状況になれば、同プラットフォーム上で利益が得られるサービスを構築するチャンスが増えるだろう」とシュミット氏は語った。「コンピューティングの歴史を見れば、このことは成功したプラットフォーム戦略すべてに当てはまる。成功しなければ意味がない」

 さらにシュミット氏は、ユーザーをオンラインに引き付ける手段として無償のWebサービスを提供し、その次の段階として広告を見せるという持論を展開した。Chrome OSの市場での展開をグーグルがどのように考えているかを説明するために、同氏はAndroid OSを引き合いに出した。Androidはオープンソースであり、グーグルはこのソフトウェア自体から収益を上げてはいない。

 しかし同氏によると、年末までに約20機種の携帯電話でAndroidが採用されるとグーグルでは予測しているという。これらのスマートフォンのユーザーにグーグルのWebサービスを利用してもらい、その過程でグーグルの広告をクリックしてもらうというのが同社の狙いだ。

 「われわれは人々にインターネットを賢く利用してもらうための戦略を進めている。人々がもっと検索を行い、YouTubeをもっと見るようになれば、広告のターゲットを絞り込むことができる。個々の製品が利益を生み出すことを求めてはいないが、利益を上げるべきではないとも考えてはいない」と同氏は述べた。

 「Chrome OSでは、どのような配布モデルが採用されるのか」という質問もシュミット氏に投げ掛けられた――今日のOSのように、コンピュータメーカーとの提携を通じてネットブックにプリインストールされるのか、それともユーザーが自分のマシンにダウンロードできるプラットフォームとして提供されるのかという質問だ。

 シュミット氏は、Chrome OSの配布モデルはまだ検討中だとした上で、「グーグルはインテルとAMD、ARMの両アーキテクチャのPCハードウェアメーカーと交渉中だ」と付け加えた。これらのベンダでは、「クラウドコンピューティングの可能性を実現する非常にエキサイティングな」製品を開発中だという。Chrome OSの主要な狙い、起動処理の高速化、ならびにクラウドコンピューティングのためのWebサービスのシームレスな利用にある。

 グーグルで製品管理を担当するジョナサン・ローゼンバーグ上級副社長は、Chrome OSはグーグルにとって新たな賭けであると位置付け、「新世代のWebベースアプリケーションはすべて、高速なユーザーエクスペリエンスを必要とする」と指摘する。

 「ユーザーがすべてをネット上で利用するようになれば、数秒でコンピュータを立ち上げてネットに接続できなくてはならない」と同氏は電話会見で語り、マイクロソフトとアップルを批判した。

原文へのリンク

(eWEEK Clint Boulton)

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