GearsでHTML 5関連仕様を実装

IE6でWeb Databaseをサポートするハック

2009/07/29

 HTML 5関連仕様で定義されてるクライアントサイドのストレージには3種類ある。cookieに似たセッション管理用情報を保持する「sessionStorage」、編集中のドキュメントやメールボックスといった大きなデータをローカルにキャッシュするための「localStorage」、それにSQLライクなクエリが使える「Web Database」だ。前者2つは「Web Storage」と呼ばれ、これはIE8をはじめ、Firefox、Safari、Chromeでサポートされている。一方、IE8はWeb Databaseをサポートしない。

 こうした状況から、オフライン向け機能を提供するオープンソースのプラグイン「Gears」を使ったWeb Database実装が登場した。開発したのは、Google Gears(後にGearsに改名)に関する著書もある白石俊平氏。Gearsが稼働するWebブラウザであれば利用できるため、IE6やFirefox 1.5など古い環境でもWeb Databaseが使えるという。今のところ、バージョン0.1と「実装を始めたばかりで、改善点もまだまだある」(白石氏)が、Web Databaseだけでなく、Web Storage、Web Workers、Application Cache、Geolocation、Browser Buttonなども視野に入れてHTML 5関連のAPI対応を進めていくプロジェクト「Gear5」も立ち上げた。

 IEがサポートしないHTML 5の仕様を外部の実装で対応させるという試みとしては、ほかにもオープンソースの「ExplorerCanvas」がある。IEを判定してExplorerCanvasのJavaScriptコードを読み込むことで、Canvasタグが使える。

 HTML 5ワーキンググループのエディター(まとめ役)を勤めるイアン・ヒクソン氏は最近、HTML 5は2009年10月までに最終草案としてまとめる意向を改めて明らかにしている(メーリングリストでの発言インタビュー)。ただ、HTML 5関連仕様の実装レベルについては、ブラウザベンダ間で大きな隔たりがあるのが現状だ。サードパーティ製のプラグインやJavaScriptライブラリのような形でそれらを埋める試みは、今後も出てくる可能性がありそうだ。

(@IT 西村賢)

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