仮想化で実質的なアウトソーシングの低価格化を実現
日本IBMが今度はパブリッククラウドサービス、動的容量追加が特徴
2009/07/31
2009年に入ってさまざまなクラウド関連製品を発表してきた日本IBMは7月30日、「IBMマネージド・クラウド・コンピューティング・サービス」を発表した。
これはVMware ESXを使ったIaaSサービス。日本IBMのデータセンターで運用する仮想化環境上で作成した仮想マシン、あるいはユーザー企業が持ち込んだ仮想マシンを運用する。
日本IBMの 取締役専務執行役員 GTS事業担当 下野雅承氏は、同社のフルアウトソーシングサービスとの比較で、新サービスを説明した。
「アウトソーシングでも集約化が重要になってきている」(下野氏)。IBMでも複数の顧客のインフラを1カ所にまとめ、物理的に統合することでスケールメリットを確保してきた。また、異なる顧客でもできるだけ同一のOS、同一のバージョンを使うことで、パッチ当てをはじめとする管理作業を効率化してきたという。
今回のサービスは、これに仮想化と自動化を組み込むことで、柔軟性を高めるものだという。
従来のアウトソーシングサービスは物理サーバ単位であるため、平均15〜20%といわれるサーバの利用率では無駄が大きい。しかし仮想化によって、利用率を80%程度まで引き上げることができる。これが効率化とコスト低減につながる。
新サービスの大きな特徴はCPU使用量の動的な変更と、使用量に応じた従量課金。同サービスでは最低保証リソースを設定して運用を開始するが、設定したCPU処理性能を超える演算処理が発生した場合、CPU使用量を最大2倍までベストエフォートで自動的に拡大できる。課金は利用を拡大した部分を含め、従量制で行われる。
最低保証リソース以上にリソース利用を拡大しない設定も可能。また、この最低保証リソース設定は、いつでも顧客の要望によって変更できる。「来週から設定を変えてくれといわれても対応できる」(下野氏)。
運用サービスは、1. ゲストOS以下の監視/障害通知、2. ゲストOS以下の監視/オペレーション/障害1次対応、3. ゲストOS以下の監視/オペレーション/障害1次対応/SEサポート、の3種類を基本とする。可用性は99.999%を提供するという。
料金設定では、CPU機種に依存しないCPU使用量の単位としてSPECint_rate2006を採用している。目安はSPECint_rate2006=5のCPU使用で、メモリ1GB、ハードディスク30GBの仮想マシン1台当たり月5万円から(この価格は100台の利用などの条件を前提としている)。実際には、顧客の要望に応じてさまざまな付帯サービスや料金設定が考えられる。契約期間は最低1カ月。
なお、このサービスでは、IBMのデータセンターと、ユーザー企業の拠点との間のインターネットVPNによる10Gbps接続がデフォルトで提供される。これにより、個々のユーザー企業におけるサーバ利用のセキュリティを高めている。すでにIBMのアウトソーシングサービスを利用している企業は、利用中の接続をそのまま適用できる。また、接続に関しては専用線にしたいなどの要望にも応えるという。
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