REST、JSON対応でWebとの親和性も向上

マルチタッチ対応、新Delphi/C++Builder発売

2009/08/25

 エンバカデロ・テクノロジーズは8月25日、統合開発環境製品の「Delphi 2010」、「C++Builder 2010」、「Delphi Prism 2010」の3製品、およびこれらすべてを統合した「Embarcadero RAD Studio 2010」の提供を開始した。価格はバージョンアップ版のダウンロードパッケージで4万2000円から。

 Windows 7のマルチタッチAPIに対応したほか、ジェスチャー機能を取り入れた。また、既存アプリケーションにWebのUIを付加するのが容易となるようRESTやJSONにも対応したほか、言語関連の機能も強化したという。

マルチタッチやジェスチャーを活用

delphi01.jpg エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表 藤井等氏

 新製品群の目玉の1つは、Windows 7で期待されるマルチタッチAPIの利用が可能となったことだ。iPhoneなどでマルチタッチをはじめとするタッチデバイス、タッチインターフェイスが浸透した感があるが、こうした変化に「PC環境は追随できていない」(エンバカデロ・テクノロジーズ 日本法人代表 藤井等氏)のが現状。

 Delphi、C++Builder、Delphi Prismでは、VCLと呼ぶGUIコンポーネント層で、タッチ系UIをサポート。Windows 7ではマルチタッチを生かしたアプリケーションが作成できるほか、それ以前のWindowsでも、シングルタッチやジェスチャーといったインターフェイスの実装が容易になる。30以上の標準ジェスチャーのほか、ビジュアル環境でジェスチャーを定義して作り込むことも可能。

multi.jpg Windows 7+マルチタッチ対応デバイスなら、iPhoneのように2本の指で画像を拡大・縮小するマルチタッチUIを備えたアプリケーションを容易に作成できるという

 もう1つ、2009版からのバージョンアップで強化されたのは、Webとの親和性の向上だ。

 もともとDelphi/C++Builderには、データベース層を抽象化するフレームワークとして「DataSnap」が利用できたが、DataSnap 2010では、TCP/IPによる通信に加え、新たにHTTPをサポート。また、コールバックやJSONサポートを追加したことで、JavaScriptやPHPを使い、WebブラウザからDBにアクセスするようなアプリケーションを書きやすくなった。また、標準でRESTを使ったアクセスに対応できるため、個別アプリケーションに機能を作り込むスタイルから、システムをつなげていく開発スタイルへと移行しやすいという。経済環境の悪化から、企業システムでは「既存アプリケーションを延命させて使うようなケースが増えている」(藤井氏)という。

rest.jpg 既存アプリケーションへも、DataSnapのJSON、REST対応によってJavaScriptを使ってアクセスできる

 このほか、言語関連の機能強化としては、Delphi/C++Builderのバックグラウンドコンパイル、Delphi言語でのカスタム属性やRTTI(Run-time Type Information:実行時型情報)のサポートによるリフレクション、C++Builderでは、C++0xサポートやライブラリアップデート、Delphi PrismではAOP(アスペクト指向プログラミング)サポートなどを追加しているという。

 IDEとしてはキーボード主体の開発が行える「IDEインサイト」機能が追加されたほか、スレッドを使ったアプリケーションのデバッグ機能などが強化されている。

ide-insight.jpg キーボード主体の開発が行える「IDEインサイト」。インクリメンタルサーチでコンポーネントを検索できる

(@IT 西村賢)

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