TelePresenceto
ドラマ「24」の世界はもう実現できる、シスコ
2009/09/14
シスコシステムズは9月10日、ビデオ会議ソリューションの拡充を発表した。参加者を等身大で映し出す高精細ビデオ会議装置「TelePresence」シリーズに小規模会議室向けの新製品2種を追加、さらに同社の多地点接続装置「Cisco Unified Videoconferencing」(CUVC)シリーズでは、自社製品・サービス間および他社製品との幅広い相互運用性を実現したという。
以前、「シスコが叫ぶ『コラボレーション』はどういう意味?」という記事で、シスコのビデオ・コミュニケーション・ソリューションの統合度に改善の余地があり、「人」中心のモデルになり切れていないと指摘した。しかし今回の相互接続性強化で、かなりこれが解消されたといえそうだ。ドラマ「24」では大型ビデオ会議システムや携帯電話、PCを任意につないだビデオ会議の場面が登場するが、その世界がほとんど実現できるようになった。
TelePresenceには小グループ(最大2名程度)向けの「TelePresence 1100」、中グループ(最大6名程度)向けの「TelePresence 1300」が加わった。これで既存の「500」「3000」「3200」と合わせ、5機種が出揃った。
これらは機種の違いを超えて、相互に接続可能だ。現在のところ、TelePresenceは、NTTのNGN経由での相互接続が実証されている唯一のビデオ会議製品だという。他社に置かれたTelePresenceとの接続は、電話番号で呼び出すだけと簡単だ。
さらにTelePresenceは、これ以外のビデオ会議ソリューションとも、多地点接続装置のCUVCを通じて幅広く接続できるようになったという。SDビデオ会議装置からHDビデオ会議装置への接続も実現している。
タンバーグやソニーなど、ビデオ会議装置市場における主要な製品にはすべて接続可能。さらにSkypeやMicrosoft Office Communicatorなどのデスクトップビデオ会議ソフトウェアにもつなげられる。各種のビデオ通話機能付き電話機にも対応。また、CUVCに3Gゲートウェイを組み合わせると、FOMAのビデオ通話機能からビデオ会議に参加することもできるようになる。CUVCにおける他社製品対応は、ビデオ会議製品間の互換性を確保する専門企業が担当しているため、主要ビデオ通話ハードウェア/ソフトウェアすべてに対応しているといってもいいとシスコの担当者は説明している。
シスコは子会社を通じ、「WebEx」というビデオ会議/アプリケーション共有サービスを展開している。このサービスにはPCに加え、iPhone、Windows Mobile、BlackBerryのクライアントから参加できるようになっている。そしてWebExの参加者を、TelePresenceによる会議に組み入れることも実現している。WebExのクライアントは、その処理能力や画面サイズに応じ、音声だけ、あるいは音声とプレゼンテーション共有だけといった形で参加することが可能だ。なお、iPhoneからWebExを使わずに、CUVC経由での TelePresenceへの直接接続を実現するソフトウェアは、現在のところ予定されていないという。
シスコシステムズのエンタープライズマーケティングシニアマネージャーである北川裕康氏は、同社がアイティメディアと共同で実施した調査結果を引用し、国内でもすでに40%を超える企業が何らかのビデオ会議を導入済みだが、音質や画質、導入・保守費用、運用管理などの課題があると説明した。こうした問題を解決するには、導入済みのビデオ会議製品との相互接続性、遅延の少ない通信、モビリティ対応が重要だという。
今回の他社製品やスマートフォン、3G携帯電話も含めた対応は、場所や利用端末にかかわらず「人」中心のコミュニケーションを実現する。シスコが理想とするコラボレーションの世界への進歩だ。
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