月額定額1万円から、回線料も無料
“Amazon EC2に勝てる”、ITコアのクラウドサービス
2009/10/05
ITコアは10月1日、月額1万円からの仮想サーバホスティングサービス「GrowServer2010」(以下GS10)を11月1日に提供開始すると発表した。Amazon EC2のようなオンデマンドのIaaSサービスを、より安い料金で利用できるというのが新サービスのウリだ。
ITコアにとって、サーバ仮想化技術を採用したサーバホスティングサービスの提供は今回が初めてではない。同社は2004年から、「GrowServer」という名称でヴイエムウェアの仮想化技術を使ったサーバホスティングサービスを提供してきたという。当初のサービス価格はGS10の最小構成とほぼ同等のスペックで月額10万円。2008年にはCPUのマルチコア化とメモリの大容量化・低価格化で5万円に下げ、今回はInfiniBandを使ったサーバ接続の大容量化と統合によりさらに1万円へ下げることができたという。
ITコア代表取締役社長の山田敏博氏は下の比較表を示し、GS10はAmazon EC2よりも割安だと説明した。
両者とも初期費用は発生しない。月単位での利用料を考えると、基本的な料金ではAmazon EC2のほうが安い。しかしGS10の場合、最低価格プランでは30GB(3重化しているので実際には90GB)のディスク容量を含めている。Amazon EC2は揮発性のディスクのみをサービスに含めていて、不揮発性のストレージについては別サービスを併用する必要がある。容量やディスクI/O量に基づき追加的な従量課金が発生する。これらの点を考慮すると、ほぼ同等になると山田氏は話した。そのうえで、GS10ではデータ転送/回線料、24時間の運用監視、OS管理などのサービスをさらに無償で提供するため、実質的にGS10のほうが安いと山田氏はいう。
GS10とAmazon EC2のサービス提供方式には違いがある。Amazon EC2は時間単位の契約であり、ユーザー自身がセルフサービスWebポータルを通じて環境を自分で設定する。仮想マシンの組み立てから起動までのプロセスは完全に自動化されていて、ユーザーは利用の開始と停止を即座に行える点で、完全にオンデマンドのサービスといえる。一方、GS10は月単位の契約であり、ITコアが顧客の要望をヒヤリングして発注から最短2日間で仮想サーバ環境を用意し、顧客はこれに対して遠隔的にOSやアプリケーションのインストールや仮想マシンのコピーを行う。すなわち完全にオンデマンドのサービスとはいえない。
GS10の基本サービスの価格は下の図のとおりだ。これにはインターネット接続回線料も含まれている。帯域保証接続を冗長構成で利用できる。ただし10Mbpsを超える帯域を消費するサーバはベストエフォート回線へ移行させられることになる。バックアップも標準で提供される。
GS10では、仮想マシンの接続構成を、ITコアとの相談で柔軟にできる。Webサーバとデータベースサーバの2つの仮想マシンで構成する際には、Webサーバとデータベースサーバの間の接続をVPNとして構成できる。また、GS10で利用する仮想マシンを専用サーバホスティングのサーバとVPNで結び、さらにこれらをPacketiX VPN 2.0によってユーザー企業と接続することで、社内ITインフラの大規模なクラウド化を実現することも可能だ。GS10では、PacketiX VPNの利用も実費程度で行える。
このサービスは、VMware vSphere 4のDRS(Distributed Resource Scheduler)機能を使って、仮想マシン配置の最適化を図っている。ストレージはデータコアの「SANsymphony」で仮想化している。また、ITコアは今回新にシーゴ・システムズのI/O仮想化製品「Xsigo I/O 仮想化コントローラ」を採用。IPネットワークとストレージの物理接続を統合し、論理的な割り当てを実現した。GS10ではこれによりアダプタの数を減らすとともに、構成変更や拡張のコストを削減、これをサービス利用料金の大幅値下げにつなげたという。
ITコアは、東京・飯田橋にあるビットアイルの第4データセンターをGS10の運用拠点として使用する。1年後に1000ユーザー、3000台、月間6000万円の売り上げを目標にしている。
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