S+Sビジョンを具現化した2010シリーズ
新Exchangeサーバはハイブリッド運用も可能、マイクロソフト
2009/10/07
マイクロソフトの2010シリーズの提供が、年内リリース予定のMicrosoft Exchange Server 2010を皮切りに順次始まる。第一弾のExchange Serverに続き、2010年前半にはOffice 2010やVisio 2010、Project 2010といったオフィス関連製品やSharePoint Serverが続く。さらにそこから数カ月遅れでMicrosoft Online Servicesが登場予定。SaaSやクラウドサービスの台頭に対して同社が唱えてきた「ソフトウェア+サービス」(S+S)のビジョンを具現化する製品・サービスが出そろう。
2009年10月7日、まだ開設したばかりのマイクロソフト大手町テクノロジーセンターで会見を開いた同社は、改めて2010シリーズについて説明した。
「オンプレミスだけでなく、オンラインでも動く、それが設計当初からの基本デザインとなっている」。Exchange Server 2010の、これまでの製品との違いについて、こう説明するのはマイクロソフト インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長の横井伸好氏だ。
Exchange Serverはこれまでオンプレミス型の運用を前提としていたが、今後はWindows AzureやWindows Liveといったオンラインサービスと組み合わせて柔軟な運用が可能になるという。オンプレミスか、サービスかという二者択一ではなく、オンプレミスのサーバと、外部サービス間のフェデレーションによる同期により、例えば大企業で一部の拠点のアカウント(メールボックス)だけをサービスで運用するといった柔軟な構成が可能という。
これまでOutlookが前提だったクライアント側も変わる。Office Outlook Web Appの登場により、IE、Safari、FirefoxといったWebブラウザをクライアントとすることができるほか、Exchange Active Sync ProtocolをネイティブサポートするiPhoneなどサードパーティ製のデバイスやアプリケーションでの利用が進むと見られる。
Exchange Server 2010は「ソフトウェア+サービスというビジョンに対応した、初めての企業向けソリューション」(横井氏)で、コンプライアンスやガバナンス向上も注目ポイントという。
例えば、欧米では裁判所からの要請があった場合に電子証拠の開示が義務付けらるようになったが、Exchange Server 2010では利用者による意図的なメール削除の際にもサーバ側のメールを証拠として保全するロックをかけることができるようになる。
これまでIT部門が行っていたメール運用に関連する特定業務を、それぞれの専門家に割り振ることでリスクや負担を低減できる。具体的には情報開示請求時のメールボックスの検索を法務責任者、人事移動などによるディレクトリ上の社員情報の更新を人事担当者、メールボックスの容量制限の操作をヘルプデスクに、それぞれ任せることができるという。
このほか、Exchange Serverを中心とした2010シリーズでは日本からのニーズを汲み上げた機能追加・改善として、アドレス帳の階層化や、グループスケジュールの横位置表示などに対応する。
Exchange Server 2010は現在リリース候補版がテスト中で、「約束どおり年内出荷できる」(横井氏)という。
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